蕎麦(そば)屋酒の魅力

友人から「ちょっと会おうか」と連絡があり、待ち合わせ場所に出向いたのが、午後2時ごろと中途半端な時間でした。

コーヒーでも飲みながら・・・というのも、何となく寂しく、かといって居酒屋で、という時間帯でもなく、迷った末に思いついたのが、蕎麦屋で「ビールに蕎麦!」という選択でした。

で、蕎麦屋に向かい、店のドアをガラリと開けると、店内は、蕎麦屋らしからぬ熱気に満ちており、あちこちから談笑の声が聞こえてきます。

ヘエ~、最近はこうなんだ、と、世の“新傾向”(ちょっと大ゲサですか?)に気づかされたのは、高齢者グループが創(つく)る「蕎麦屋の居酒屋化」でした。

昨今、大手居酒屋チェーン店は、元気な高齢者層をターゲットに午後4時開店、いや、もっと早い時間帯の開店もあり、競り合っていますが、私たちが入った蕎麦屋では、ハイキング帰りのような格好の高齢者グループが、蕎麦と酒でにぎやかなひと時を過ごしていました。

そんな光景を見て、フ~ン、これからの蕎麦屋は、サラリーマンの軽い昼食の場から、まだ陽が高い時間帯に開店している居酒屋的な利用のされ方をして繁盛しそうだなァ、とつくづく思ってしまいました。

そういえば、テレビの時代劇などでも、蕎麦と酒、のシーンはしばしば見られ、蕎麦屋で飲むという居酒屋的な利用のされ方は、江戸時代からあったのでしょう。

「蕎麦前」という言葉も、聞いたことがありますが、調べてみるとその意味は、蕎麦が茹(ゆ)で上がるのを待つ間に飲む酒のことだそうで、やはり、蕎麦には酒、という組み合わせは、昔から当たり前のようにあったのでしょうね。

「居酒屋化」する蕎麦屋の形

〈「盛りそばで酒を飲むのはいい・・・」というようなことを通ぶった人がよく言うでしょう。だけど実際に、通じゃなくてもいいものなんだよ。だから、そばで酒を飲んでもちっともキザじゃないんだよ。ぼくも好きですよ〉

-「鬼平犯科帳」でお馴染みの池波正太郎氏(故人)は、自著「男の作法」で、こう記述していますが、まったくその通り、通ぶった人だけに独占させておくテはないですね。

ついでに・・・。

〈そばのつゆにしても、ちょっと先だけつけてスーッとやるのが本当だというけど、これだって一概には言えないんだ。つゆが薄い場合はどっぷりつけていいんだよ。(略)東京のそばのつゆはわざと辛くしてあるわけだ。先へつけて口の中でまざりあってちょうどいいように辛くしてある。だから、こうやって見てつゆが薄ければ、どっぶりつけちゃえばいいんですよ〉(同書から)

いいですねェ。素直にいいです。高齢者グループの蕎麦屋談議では、必ず“半可通”もいるでしょうから、逆襲? するには、いい話ですね。

蕎麦屋で居酒屋的な楽しみをするとき、つまみなどの肴(さかな)はだいたい、板わさ、冷やっこ、出し巻きたまご、などといったところが一般的だと思います。

が、最近は、店側も「居酒屋化」を意識してか、さまざまな肴を用意しているようです。私の別の友人などは、例えば天ぷら蕎麦の天ぷらだけなどトッピング数種類を単品で注文して肴とし、うまそうに酒を飲んでいました。

こうした蕎麦屋の居酒屋化は、これからどんどん、さまざまな形で進化して行きそうです。

が、何ごともマナー違反はいけません。「居酒屋化」はしても「居酒屋」ではないのですから・・・。

まず、周囲への気遣いは必要でしょうね。酔い過ぎも蕎麦屋では似合いません。蕎麦屋では“お一人サマ”は当たり前なのですから、静かに楽しんでいる人たちへの配慮は、公共マナーとして欠かせません。

・・・さらに長時間の長居も常識の範囲内で、といったところでしょうか。

そうしたことをわきまえた上での蕎麦屋の「蕎麦と酒」は、なかなか良いものではないか、改めて気づいた次第でした。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

最新記事
カテゴリ
最新トラックバック
月別アーカイブ
最新コメント
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

アクセスランキング
ランクアップにご協力下さい
↓↓↓↓クリック↓↓↓↓
QRコード
QR