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暫定システムって何?

プロボクシング界ではこのところ、暫定王者とか暫定タイトルマッチとかが、多く聞かれます。この暫定戦がやたら目立ち、乱立気味ともいえる昨今、その意味を問う特集も専門誌で組まれるほどで、世界王座の権威、価値を落とす存在として見直すべきときを迎えているようです。

暫定とは言うまでもなく「臨時(あるいは一時的)の措置」(広辞苑)です。プロボクシング界での暫定王者は、正規王者が負傷などの理由により、長期休養を余儀なくされたときにやむなく、緊急的に立てられるもの、とされていますが、ここ数年の乱立傾向を見るにつけ、ファンの多くが暫定システムの不思議、不可解を感じているのではないでしょうか。

私自身が、あれっ? と暫定戦の不思議を感じたのは06年のころでした。その年の9月、神奈川・パシフィコ横浜で川嶋勝重(大橋=引退)vsクリスチャン・ミハレス(メキシコ)のWBC世界スーパーフライ級暫定王座決定戦(川嶋の判定負け)が行われ、10月には暫定王者のワンディ・シンワンチャー(タイ)に嘉陽宗嗣(白井・具志堅)が挑んだWBC世界ライトフライ級暫定タイトルマッチ(嘉陽の判定負け)が行われたのです。

あれっ? と思った理由は、WBC世界スーパーフライ級なら、正規王者の徳山昌守(金沢=引退)が進退の狭間(はざま)にいて、王者としての態度を保留にしていたとはいえ、まだ健在だったこと。WBC世界ライトフライ級では、正規王者のブライアン・ビロリア(米国)が、春先に負傷して暫定王座決定戦の実施が認められたものの、その後、復帰したビロリアは8月に2度目の防衛戦(判定負けで王座陥落)を行っており、新王者が誕生した中で10月の暫定王座防衛戦など、まったくやる意味が分からない、と思ったからでした。

正規と暫定の厳しい位置づけ

暫定が持つ本来の意味で強烈な緊迫感を漂わせたのは、元WBC世界バンタム級王者の辰吉丈一郎(大阪帝拳)だったでしょうか。1991年9月、世界王座奪取の後に左目の網膜裂孔が発覚、選手生命の危機に立たされる中、ビクトル・ラバナレス(メキシコ)が暫定王者となりました。これは異論のない措置だったでしょう。

正規王者の辰吉は、といえば1年後の1992年9月、復帰戦にこぎつけ、調子診断の1試合をはさむこともなく、いきなりラバナレスとの王座統一戦に臨みます。

結果は周知の通り、辰吉は負けるのですが、この一戦は勝敗とは別に、暫定王者を立てられた正規王者の苦悩、また、暫定王者も常に正規王者をにらむ厳しい関係を表していました。これが正規王者と暫定王者のもとともの形でしょう。

興行としての思惑があるでしょう。試合を承認する管轄各団体の利益もあることでしょう。あるいは試合を放送するテレビ各局のその試合への位置づけ、意義なども・・・。この世界、さまざまな理由があることとは思います。

が、正規王者と暫定王者が別々に一人歩きしてしまうような昨今の状況はいかがなものでしょうか。ボクシング界を支えるファンを混乱させたり、興醒めさせたりするシステムは、少なくともプラスにはなりません。

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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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