84年前の「9・27」の偉業

秋の夜長-。

書棚から古ぼけた一冊の本「ゴルフはわが人生」(ボビー・ジョーンズ著=今井建一郎訳)を取り出してパラパラとめくっていたら、ジョーンズが1930年に達成した、ゴルフ史上に燦然(さんぜん)と輝く「グランド・スラム」を詳細に記述した「グランド・スラムへの道」の項が出てきて、ついつい読みふけってしまいました。

ついでに〈今日は何の日?〉を見てみると「9月27日」の項目には、ジョーンズの「前人未到のグランド・スラム達成」があってビックリ! となりました。

フ~ン、そうなんだ! 1930年・・・実に84年前の今日9月27日、全米アマ(あの有名なメリオンGC=米ペンシルベニア州=での大会です)の最終日が行われ、ジョーンズは“締めくくり”の4冠目を勝ち取ったのか、と何か、感動が伝わってきそうな気持ちになりました。

・・・ちなみに、その当時の日本は? 資料をひもとくと昭和5年、流行歌の誕生! その第1弾は「東京行進曲」~♪昔恋しい 銀座の柳~で、人気を博したものの、風俗上、好ましくない! として放送禁止となったそうです。なぜ? ですね。

グランド・スラムは、ゴルフやテニスなどでよく使われますが、複数の世界メジャー大会を同一年に制覇することを言います。

例えばテニスでは①ウィンブルドン(全英オープン)②全米オープン③全仏オープン④全豪オープン-の4大大会。ゴルフでは男子が①マスターズ②全米オープン③全英オープン④全米プロの4大大会。女子が①クラフト・ナビスコ選手権②全米女子プロ③全米女子オープン④全英女子オープン⑤エビアン選手権の5大大会。この年間のメジャー競技にすべて勝つことを言います。

ジョーンズは生涯アマチュアを通しており、年間グランド・スラムを達成した1930年当時は①全英アマ②全英オープン③全米オープン④全米アマ-でした。

ちなみに「ゴルフはわが人生」によると〈キーラー(注=ジョーンズへの密着取材を続けたアトランタ紙のリポーター)をしていわしむれば「グランド・スラム」。またジョージ・トレバーが名づけたところによれば「難攻不落のゴルフの四冠王」は・・・(略)〉とあり、この「グランド・スラム」という言葉が使われたのは、ジョーンズの快挙達成時が初めてだったようです。

日本では流行歌誕生の年に・・・

1902年3月17日生まれ(1971年12月18日没=享年69)のジョーンズは、28歳でこの快挙を達成し、その後、同年で競技生活から引退していますが、自著「ゴルフはわが人生」の第17章〈ゴルフ今昔〉の項に面白いことが書かれています。

〈わたしがしばしば受ける質問は「わたしの時代のゴルファーは、果たして現在のゴルファーと同様であったか?」である〉

という、昔と今の比較に関するテーマ、の投げかけです。

ジョーンズは、こう続けます。

〈これほど返答しがたい質問もまたあるまい。(略)そして、それは大変、興味の持てそうな問題だけに、おそらくわたしも、その議論に加わることだろう〉

記述はまた、こう続けられます。

〈1927年、わたしがセント・アンドリュースにおける全英オープンに優勝したとき、スコットランド・ゴルフ界の長老といわれる往年のプロの一人が、新聞につぎのように引き合いに出された。「(略)彼(注=トム・モリス)はまったくジョーンズと同様の腕前だった。が、彼はガッティ(注=糸巻き)ボールでプレーしなければならなかった。(略)当時、セント・アンドリュースは、ハリエニシダが人の丈より伸びていたし、フェアウエーの幅は現在の半分だった。現在、われわれが使っているゴムの芯巻きボールなら、ほんの軽打で1マイルも吹っ飛んでいく」(略)〉

この記述に関連して、私が好きな言葉が2つあります。いずれも摂津茂和著「不滅のゴルフ名言集」に掲載されている“名言”です。

1つは-。

〈昔の名手を比較するには、スコアそのものよりも、その時代の条件(コース、クラブ、ボール)を考えなければならない〉(パトリック・スマート)

もう1つは-。

〈ゴルフは常に進歩している。100年後には、昔アーノルド・パーマーというプロが、わずか7000ヤードしかない短いコースで、65もの多くのスコアを出したといって、みんなが不思議がる日がくるかもしれない〉(ドナルド・スチール)

ゴルフには、こうした要素がつきまといます。

パーシモン・ヘッドの時代、300ヤードのショットは、限られた人のものでしたが、クラブとボールが進化した今、350ヤード超は当たり前の飛距離にコースが追いつかなくなっています。

・・・が、同一年のグランド・スラム達成は、時代を超えて最大難関であり、ジョーンズの偉業は“球聖”と呼ばれるのにふさわしく、永遠の名手として、毎年4月の「マスターズ」とともに思い出されて良いのではないかと思います。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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