チャンプとはかくも厳しいもの!

10月22日午後-。秋雨に煙る原宿に出向きました。

そうです。ファンの方々の、恐らくすべてが“ゴッドレフト”のKO劇を期待しただろう、東京・代々木競技場第二体育館で行われた、プロボクシングWBC世界バンタム級王者・山中慎介(32=帝拳)のV7戦です。

会場に入った後、試合前に帝拳ジムの先輩王者である浜田剛史氏(帝拳プロモーション代表)をつかまえ、山中の強さについて話してもらいました。

-最初に「心」の部分ですが、以前とはだいぶ変わってきていますか?

浜田氏「強敵・難敵との防衛戦を乗り越えてきた自信が揺るぎないものになっていますね。積み重ねは大きい

-次に「技」の部分ですが、左という武器があることは大きいと思いますが、これだけ相手に研究され、警戒され尽くされている左を、山中はどうして毎回、当てられるのでしょう。

浜田氏「そうですね。私も最近、そうした質問をよく受けます。それに対して私は、相手にとって“想定外”の左が飛んでくるからですよ、と答えています。つまり、山中は常に研究と工夫を欠かさない練習を積んでいるわけです。左を当てるための右の使い方、左そのものも角度やスピードに変化をつける、などですね。日々、進化。今日の左は昨日の左ではない、ということですね」

-練習についてはどうですか?

浜田氏「常に試合を念頭に置いた練習をしていますね。明確な目的を持った練習、と言えるでしょうか。少なくとも、練習のための練習、ではないですね。この意識は大きいと思います」

なるほど! ですね。王者になってからの山中の意識の変革、強さが裏付けられる「浜田剛史の目」でした。

「KO出来ずにすいません」

・・・が、そうはいっても、やはり、相手がいてこそのボクシングです。この日のV7戦の相手、同級1位(元WBC世界スーパーフライ級王者)の指名挑戦者スリヤン・ソールンビサイ(25=タイ)は、徹底的に山中を研究し尽くしてぶつかってきました。

序盤戦、頭を下げて前のめりに突っ込んで右を連発するスリヤンに山中は、自分のペースに持ち込めず、バタついてしまいます。

4回終了時の公開採点は、2人のジャッジが38-38でドロー、1人のジャッジが39-37でスリヤンを支持です。

浜田氏「もともとスリヤンは、あんなに突っ込んでくるタイプではないんです。接近してもみ合ってクリンチ。完全に山中の左を封じる戦法で来ましたね」

相手がそう来たなら、山中に求められるものは、その上を行けるかどうか、です。それが、世界中の刺客から狙われる王者の技量、対応力なのでしょう。

浜田氏「さすがだったと思いますよ。山中はスタートでリズムを崩されながらも冷静に対応、分析しながら戦っていました。中盤以降、左で奪った3度のダウンは、当てにくい状況にあっただけに私は評価したいですね

終わってみれば、3人のジャッジの採点は、114-110、116-108、115-109、で文句なしの大差判定勝利となりました。

もちろん、V2戦から続けた連続KO勝利は「5」でストップしたことにより、ファンはそのことに“残念!”な気持ちを抱いたことと思います。山中自身、試合後のリング上で「KO出来ずにスイマセン」と頭を下げていました。

山中に対して「大変だなァ」と思うことは、そこにありますね。つまり、ただ勝てばいいではなく、常にファンの期待に応える、いい試合をしなくてはならない、という、内容にこだわる王者の矜持です。

スリヤンが、とにかくどんな試合でも、なりふり構わずに勝てばいい、という戦い方で攻め込んできたことと比べれば、山中に懸かる精神面の負担は、相当なものだったと思います。

そうした中での勝利-少なくとも3度のダウンを奪ってKO寸前にまで追い込んだのですから、過程を最大限に評価してあげたいと思いますが、どうでしょうか。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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