子供の声は「騒音か?」の論議

私が住むマンションで最近、気がつくことは、夕方になると子供たちの大きな声や、スケボーで遊ぶゴロゴロ、ガラガラなどの音が、にぎやかに聞かれるようになったことです。

2002年(平14)8月竣工の、このマンションに入居して12年が過ぎましたが、そうか、入居時ころに生まれた子供たちは、もう小学生の高学年になるのだなァ、と思い、ときの経過とともに環境もまた、変わることを、以前にはあまり聞かれなかった、彼らのにぎやかな声で知らされました。

こうした“にぎやかさ”を「騒音」ととらえるかどうか-。静かだった以前と比較して、居住者はどう受け止めていることでしょうか。

聞いて回ったわけではありませんが、その一人である私自身の受け止め方としては、子供たちの声や彼らが発する音に対し、度が過ぎていれば注意くらいはすると思いますが、集合住宅暮らしをする上での許容の範囲内であれば、別に神経をとがらすほどの問題ではないこと、としています。

・・・この秋、神戸市東灘区の保育園での子供の声が「うるさい」として、近くに住む70代の男性が、防音設備の設置や慰謝料100万円の支払いを求める訴えを起こした、という出来ごとがあり、子供の声は、果たして「騒音か」の論議が起きています。

新聞報道によると、この件に関する訴状は「子供らの声や太鼓の音などは騒音で、神戸市が工場などを対象に定めた規制基準が保育園にも適用されるべきだ」とされていた、とのことでした。

「感情公害」をどう判断するか

私が以前、居住するマンションの管理組合役員を輪番制で仰せつかり、互選により理事長の役目を務めていたとき、居住者の苦情として、一番多かったのが「騒音(生活音)」に関するものでした。

ある日、居住者Aさんが、上の階に住む居住者Bさん宅から発せられる音が「我慢しきれない」と、苦情を提出しました。

直接、話を聞くと、バタバタというスリッパの音、子供たちが走り回るドンドンと響く音、あるいはドアが閉まるバタンという音、などが「我慢しきれない」と言います。Aさんは、極めて冷静な方で「許容度はわきまえているつもりですが・・・」と決して感情的なものからではない、ことを強調し、しかし「日々の問題となると・・・」ということで苦情の提出となったようでした。

集合住宅における騒音、生活音の問題は、古くからある“古典的”なテーマともいえるものでしょう

が、この種の生活騒音は「感情公害」とも言われ、音を出す側とそれを受ける側の感覚に差があり、解決策がなかなか見つからない、というところに限りない難しさを秘めています。

例えば、この問題にしても、自分の子供たちが、力余って部屋の中を駆け回ることは、元気であることの証明であり、親としては、コラコラおとなしく! 程度の感覚でニコニコと見守っているのが普通だと思います。

が、今度は逆に、その音を聞かされる側になると・・・ということです。

要は、子供たちにそれを教えるのは難しいと思いますが、少なくとも親たちが、集合住宅に住む者ののわきまえとして、他人への思いやり、気遣い、を徹底し、子供たちにも言い聞かせることが大切なのではないかと思います。

保育園での子供たちの声を「騒音」として問題視した今回の出来ごとも、いわゆる「感情公害」とされる騒音問題に対する、70代男性の音の受け止め方、感情の度合いが生んだものと思われます。

地域社会での円滑性を考えるとき、私はこのごろ、ものごとの受け止め方を「10」から「9~8」くらいに抑えることが大事だなァ、とつくづく思います。それが、感情のコントロール、にもつながってくるのではないでしょうか。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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