体重差3・19キロに潜む罠

“怪物”の第2章は、危険なチャレンジとなりました。

プロボクシングのWBC世界ライトフライ級王者・井上尚弥(21=大橋)が、同級王座を返上、2階級上のスーパーフライ級世界王座に挑むことが決定しました。

注目の試合は、12月30日に東京体育館で行われ、相手はWBO世界スーパーフライ級王者オマール・ナルバエス(39=アルゼンチン)への挑戦となりました。

高校生初のアマ7冠の勲章を引っさげてプロ入り。日本人最速のプロ6戦目で世界王座を奪取した“天才”井上も、最大の敵「減量苦」には泣かされました。

ライトフライ級のリミットは48・9キロ。井上は、日ごろのウエート(60キロ弱)から約10キロの減量には苦しめられ、14年4月の世界王座挑戦(WBC世界ライトフライ級王者アドリアン・エルナンデス=アルゼンチン)時も、6回TKOで勝利したものの、厳しい減量の影響で途中、左足太ももの裏が痙攣(けいれん)するというアクシデントに見舞われています。

まだ成長の過程にあって減量の厳しさは、仕方のないこと、かもしれませんが、14年9月の初防衛戦(対サマートレック・ゴーキャットジム=タイ)でも、4、6回にダウンを奪いながら、とどめを刺せず、やっと11回にTKOで試合を決めた展開には、井上も「情けない試合」と内容を反省、減量苦の影響をにじませていたものでした。

穂積はスピードに陰りが出た!

この時点で井上陣営は、1階級上のフライ級転向を視野に入れ、次戦は同級へのチャレンジで交渉を進めていたとのことですが、その過程でナルパエスの名前が上がり、井上の希望もあり、思い切った2階級上への挑戦が実現したようです。

ところが・・・このナルバエスは、手ごわい相手です。

1975年7月10日生まれ。アルゼンチン出身の39歳は、アマ時代、1996年アトランタ、00年シドニーと2度の五輪出場の経験を持ち、プロ入り後、WBO世界フライ級王者時代は16度防衛。同級王座を返上後、10年5月に現在のWBO世界スーパーフライ級王座を獲得し、目下11度の防衛中という歴戦の強者です。

さて・・・2階級上へのチャレンジで思い出されるのが、WBC世界バンタム級王座を10度防衛した長谷川穂積(33=真正)でしょうか。

10年5月のV11戦でWBO王者のフェルナンド・モンティエル(メキシコ)に敗れた長谷川は、やはり、飲まず食わずで約10キロの減量苦を背景に2階級上のフェザー級に転向、2階級制覇に成功後、初防衛戦で敗れています。

バンタム級(リミット53・52キロ)からフェザー級(リミット57・15キロ)への体重3・63キロ増は、長谷川の厳しかった減量を楽にしましたが、持ち前のスピードに微妙に影響したことは否めません。

4回TKO負けした初防衛戦(11年4月)のジョニー・ゴンザレス(メキシコ)戦では、相手のパワーに対抗すべくスピードに陰りが差していました。

井上のチャレンジに危惧を抱くとしたら、やはり、そのあたりでしょうか。

井上が、世界王座計27度防衛という、こちらも“怪物”のナルバエスに、どういう戦いを挑もうとしているのでしょうか。

体重増とそれに伴うプラスとマイナス面-。

パワーとスピードの兼ね合い、どちらを優先させるのか、そのあたりをしっかりと把握してほしいですね。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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