FC2ブログ

王者・内山に見た日々前進

ファンが求めるものにどう応えるか、というテーマは、プロスポーツ各分野で活躍するトップクラスに欠かせないものでしょう。

例えばプロゴルフなら、石川遼を見にくるギャラリーは、パー5のホールで2オン、圧巻のイーグル奪取の場面を目(ま)の当たりにしたいがために入場料を払うのでしょうし、サッカーであれば、日本代表の本田圭佑(CSKAモスクワ)に“ここ一番”でのゴールを求めます。

スーパースターが備える条件のうち、高いお金を払ってでも見にきて良かった、とファンを喜ばせ、納得させられるかどうか、ということは大きなウエートを占めますが、プロボクシングのWBA世界スーパーフェザー級王者・内山高志(30=ワタナベ)も、その意味でスーパースターの域に達したかのようでした。

(5回TKO勝利でV2達成。期待に応えた内山)
内山V2戦

9月20日、さいたまスーパーアリーナ(コミュニティアリーナ)に足を運んだ5800人(主催者発表)の観客は、そのすべてが“KOダイナマイト”内山の豪快なKOシーンを期待していたことと思います。挑戦者にロイ・ムクリス(インドネシア)を迎えた2度目の防衛戦です。

内山は05年7月のプロデビュー戦から13戦目まで全勝(10KO)の戦績。14戦目の今年1月、WBA世界スーパーフェザー級王者サルガド(メキシコ)に挑戦して最終12回、TKO勝利で王座を奪取。5月の初防衛戦(対グラナドス=ベネズエラ)も6回TKO勝利を収め、2度目の防衛戦を迎えたのですから、観客にしてみれば、勝てばいいってもんじゃないぞ! 内山! お前の役目は倒すことだ! が、いってみれば入場料分の要求だったことでしょう。

そんな過酷な要求の中、内山の戦いぶりはどうだったでしょう。

仕上げへの段取りづくり

顔を覆う高くて固いガードで機をうかがうムクリスに対し内山はまず、ボディーを標的とします。最初は右フック。ドスッ、ドスッ! リング下の記者席にまで響いてくる鈍い打撃音は本当に痛そうでした。当然、相手のガードが緩み、下がります。で、次は右のストレートでボディー、さらに顔へと打ち分け始めました。序盤のこの攻防をただ、スゲーなァ、と漠然と見ていてはいけません。実はこれが、ファンが望むKO決着への“伏線”だったのです。

結果は5回2分過ぎ、内山の右フックがムクリスの左ほおに炸(さく)裂。崩れた相手に6連打を見舞い2分27秒、TKO勝ちを収めます。

リングサイドで観戦していたスポニチ本紙の世界戦評論でおなじみの元世界王者・浜田剛史氏がうなりました。

「5回に決めましたが、そこに至るまで(4回まで)の“組み立て”を見逃すわけにはいきませんね。内山の下から上、あるいは上から下、への打ち分けで、相手には迷いが出ていました。どう防御してどう攻めようか、という迷いですね。仕上げ(KO決着)への段取りをつくり上げた。これは内山の成長でしょう」

なるほど。ボクサーは試合が決まった直後から相手をとことん研究しシュミレーションを重ねますが、練習でやり尽くした必殺のパンチが、実際には練習通りに当たることはなかなかないと言われます。それを当てるためにどうするか。相手を揺さぶる、崩す・・・段取りのうまさは、頭脳派ボクサーの長谷川穂積(真正)に代表されますが、KOダイナマイトの内山もまた、王者となってそういうことが出来るようになったことを証明した試合でした。

王座奪取からの3連続KO勝利は、日本人選手としては史上初の快挙となりました。強打を浴びて失神、左ほおを骨折したムクリスは気の毒でしたが、その分、内山の強さが際立った防衛戦。帰路に着くファンの顔は、誰もが興奮の余韻を残して満足そうでした。

スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

最新記事
カテゴリ
最新トラックバック
月別アーカイブ
最新コメント
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

アクセスランキング
ランクアップにご協力下さい
↓↓↓↓クリック↓↓↓↓
QRコード
QR