まず「今」を終えなければ・・・

以前の出来事です。

まだ、総合格闘技リング「PRIDE」などの格闘技興行がにぎやかだったころのある日、都内の某格闘技ジムで取材していた私に、同ジムのトレーナーが声をかけてきました。

「サトーさん、今、何を考えていますか?」

エッ? ン? 突然の問いかけに言葉に詰まっていると、そのトレーナーが言いました。

「少なくとも、3つは考えている顔つきですよ、あれやこれやと・・・。でもね、まず、今を終えないと次は来ないんですよ。そして、今に集中することにより、気持ちが楽になりますよ」

トレーナーに声をかけられたとき、確かに私は、その日やるべきことに集中しておらず、抱えた数々のやらなければならないことに対し、明日はああして、明後日はこうして・・・など先のことが、頭の中をぐるぐる回っている状態でした。

だから、眉間にシワでも寄っていたのかもしれません。

日々、選手の心理と付き合っているプロのトレーナーというものは、凄いことを言うものですね。そういう状態が見えるのでしょうか。

私は今でも、この指摘を忘れることが出来ず、何かやるべきことが複数、重なったとき、今、先に終えなくてはならないことは何か? をまず、考えることにしています。

面白いことにこのことは、多くのことに当てはまります。

例えばゴルフ-。

1メートル半から2メートルほどのパットは、入れごろ外しごろの距離で結構、メンタル面に左右されます。選手たちは、この距離が難しいことを熟知しており、だから集中します。

1メートルのパットを外す原因は?

が、1メートルはどうでしょうか。

この距離のパットを外す“ポカ”は、しばしば見られますが、それは選手たちが、入れる前に既に入ったものとして次を考えてしまいながら打ち、外してしまうケースが多く、今を終えなければ次は来ない、ことの具体的な例ともいえます。

あるいはヨットレース-。

シングルハンド(一人乗り)の世界一周レースに優勝したヨットマンの言葉にも“なるほど”という重みがあります。

長丁場の外洋帆走レースにおいては必ず、ヨットが傷みます。

「いっぺんに複数、修理箇所が必要になったとき、フネを少しでも前に進めるためには、どこの修理が最優先されなければならないか、という冷静な判断が必要になりますね。あれやこれやと中途半端にならず、やるべきことを一つ一つ、こなしていくことが大切です」

マラソンで42・195キロの距離を2時間強もの時間をかけて走る選手たちは、その最中、何を考えているのか? という興味があります。

残念ながら私は、一線級のランナーたちにそれを聞く機会がないまま、今に至っていますが、市民ランナーに聞いたことはあります。

多くは、タイムに関するもので、自分が持っているタイムを短縮させたい、という、これは今、やるべきことに集中している、ということでしょう。

しかし、一方、会社であった出来事に対し、こうすればよかった、ああすればよかった、などが浮かんでくる、とか、早く走り終えてもう、マラソンは辞めよう、などということもまた、浮かんでくるそうです。これらはどうなのでしょうか。

私自身はどうか、と振り返ってみると-。

私はだいたい、約10キロ、私の足で約2時間くらいのウオーキングを日課(・・・とは名ばかりですが)としています。

今、やらなければならないことは、当たり前のことですが、ウオーキングへの集中です。が、せっせと歩きながら考えていることは、いろいろと浮かんではきますが、多くを占めるのが〈早く終えて家のソファでひと眠りしたいなァ〉という“楽なひととき”への願望でしょうか。

まあ、しかし、こうした願望を持ちながら歩くことも、あるいは、いつもの時間を短縮させる原動力になるかもしれず、今、やらなければならないこと、の枠内かもしれません。

さまざまなケースがある中、一度に複数の完遂には無理があり、何かと多くを抱える、忙しい現代人であっても、今を終えなければ次は来ない、の順序立ては大事なことでしょうね。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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