大みそかの格闘技興行・考

毎年、年の瀬になると、浮かんでくるのが「アントニオ猪木の顔」です。

「紅白歌合戦にひと泡吹かせようじゃないか。外に出ているヤツ、みんな集まれ~ッ!」

大みそかの格闘技興行は、赤マフラーのこの人-“燃える闘魂”が突然、こう叫んで始まったのです。

00年12月31日の大阪ドーム-。

あの、しっちゃかめっちゃかぶり、はまだ、記憶の片隅に残っています。

あれはいったい何だったのか? 総合格闘家とプロレスラーが垣根を外し、ごちゃまぜのおもちゃ箱をひっくり返した状態。見せるほうも観(み)るほうも、ただ、大みそかという特別の日、カウントダウン、という興奮だけがあり、何が何だか分からずに盛り上がり、何が何だか分からずに終わり、観客は皆、妙な満足感に包まれて初日の出に向かったものでした。

しかし・・・怖いものです。これが火をつけました。

翌01年から民放テレビ各局が、全国ネット放送を引っさげて、大みそかの格闘技イベントに本格的に取り組みます。一時はTBSテレビ、フジテレビ、日本テレビの3局がしのぎを削り合い、紅白歌合戦に迫る視聴率争いを繰り広げたのですから、巨大風車に挑んだ猪木“ドン・キホーテ”の夢想は、ひょっとしたら夢想ではないかも・・・に変わってくるほどでした。

猪木の〈とにかくやってみようじゃないか〉という決断。〈ダメならゴメンナサイだ〉という開き直り。これには、凄さを感じたものでした。

が、一方、これにつき合わなければならないスポーツ新聞各紙の格闘技担当記者たちは“恨み節”でした。

「紅白・・・」vs格闘技の対立構図

「今年もやるのか?」が挨拶代わりの日々。何しろ彼ら(私もそうでしたが)は、00年から毎年、現場に出ずっぱりです。終了後は、終夜運転の電車に乗って元日午前様帰宅が恒例化ししまっては、オレたちは何と世間とズレてしまっているのか、との愚痴も出ようというものです。

イベント関係者が、目の色を変えて“打倒・紅白!”をぶち上げるたびに私たちは、記者仲間と「オイオイ、そういえばここ数年、紅白なんて見てないよなァ」と話し「たまにはノンビリと見ないと、どちらのイベントがいいか、なんて分からないよなァ」などの理屈も、焼け石に水! でした。

そうした格闘技の時代が終わり、担当記者たちはようやく、大みそかの仕事から解放されるぞ、紅白も見れるぞ、と世間並みの楽しみに胸躍らされた途端、格闘技全盛時代に我慢を強いられた老舗のプロボクシングが台頭してきました。

東の内山高志(ワタナベ)、西の井岡一翔(井岡)は、ここ数年、大みそか恒例となり、今年は12月30日も加わり、東西で2日間計8つの世界タイトルマッチが行われる盛況ぶりです。

猪木サンもまだ、頑張っていて「INOKI BOM-BA-YE 2014」(大みそか=東京・両国国技館)を開催するにき゜やかさです。

プロボクシングの大みそか興行に関して、評論家のジョー小泉氏は、ボクシング専門誌にこう記述しています。

〈1961年の大みそか、東洋太平洋ミドル級王者・海津文雄(笹崎)と日本ライト級王者・小阪照男(帝拳)の試合をフジテレビが午後9時半から同11時まで放送した。NHKの紅白歌合戦への対抗馬として黄金時代のボクシングが実験的に放送された。実験成功で翌年からも、大みそかファイトが開催された〉

とすると“打倒・紅白”に向けて最短距離に立つソフトは、昔からボクシングを含む格闘技にあるようです。

今年、30日東京体育館=フジテレビ、31日大田区総合体育館=テレビ東京、同日大阪・ボディメーカーコロシアム=TBSテレビ、と民放3局が、紅白にチャレンジする視聴率戦争は、どんな結果が出ることでしょうか。

とともにリングで戦う選手たちが、旧年から新年に伝えるメッセージも見逃せません。

ところでこの私、振り返ってみれば00年からもう15年連続、大みそかに現場! となります。

これってやはり異常? まあ、普通ではないようですよね。ああ・・・。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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