独善的男乃着物考其ノ拾六

行きつけの「飲み処(どころ)」が、新年は4日からやりますよ、というので松の内の某日、ブラリと出掛けました。

私の装いは、この欄に書こうというのですから、言うまでもなく和装です。

店に着いて、顔なじみの面々と「やあやあ、今年もよろしくネ」などと挨拶を交わしながら、芋焼酎のお湯割りなどをやっていると、こちらも顔なじみの女性が、笑顔でいそいそと和服姿で入ってきました。

この女性は、日本舞踊の師匠格ということで日ごろから和服に馴染んでおり、和装の大きなポイントとなる〈着慣れている〉という面では、さすが! の感がありました。

当然のように周囲の目は、その着物に注がれ、この女性が着ている「黒地に梅の花」を散らした初春の柄は、派手ではないものの、控えめな華やかさがあり、観る側に「いいねェ」と言わせます。

そうした女性の着物と比較した場合、男性の着物は何もなく、いかにも地味です。男の着物が、柄で「いいねェ」などと言われることはまずなく、私がその日、選んだ着物にしても、ほとんど黒に近い濃緑色の長着、そのグリーン系に一応合わせた深い草緑色の角帯、同系色の羽織、といったところです。

まあ、女の着物のパッとした“華やかさ”に対し、男のそれは“渋さ”がウリといったところになるのでしょうか。

では、渋さをウリにして「いいねェ」と言わせるには、どういう工夫が必要でしょうか。

私が思うところのポイントは〈色のコーディネート〉です。

あくまで「独善的」に言わせていただくなら、私流は〈帯の色と羽織の色を合わせる〉ことです。

華やかさvs渋さの勝負に勝つために

例えば、長着が紺、羽織がシルバーなら、帯の色をシルバーにする、ということですが、どうでしょうか。羽織と帯の色を同系色にしておくと、長着と羽織が合わない色だったとしても、帯との兼ね合いで案外、おかしくない配色になっているのでは? と思います。

もちろん、これはあくまで、私の独善的なものであり、これに対して他人が笑っているかどうかは分からず、別に気にするところでもありません。

もう一つ、渋さで勝負! の演出は、羽織紐の色にもあります。羽織紐は、地味な男の和装にあって唯一、アクセサリー的な要素を持っており、体の正面に位置するこれをおろそかにしたくないものです。

基本的に私は、平打ち(紐の断面が平ら)で結ぶ形のものが好きですが、このところは、カジュアルな「無双」も使っています。

どちらを使うにしても、羽織紐の色は、長着の色に合わせたい、というのが、私の配慮、もちろん独善的ですよ! なのです。

・・・と、ここまでは、目に見える部分ですが、では、目に見えのない部分はどうでしょうか。

下着の「下」をどうするか、という問題は、着物好きの男の心意気に関わってくるテーマです。冬場の着物は寒いからインナーを暖かくして、などとユニクロの極暖ヒートテックのロングボクサーを、などと緩いことを言っていてはいけません。

ここは何としても、木綿(あるいは晒=さらし)の白、越中褌(ふんどし)で気持ちを引き締めたいものです。

越中褌といえば、数年前の夏、大手スーパーの下着売り場でディズニー・ブランドのミッキーマウスの顔が柄となっているものを見つけました。ヘェ~、こんなものがねェ・・・と購入したのですが、このとき、レジのおばちゃんに、微妙な笑顔で「これ、いいですよねェ」と言われたのには、さすがに参りましたが・・・。

まあ、見えない部分、裏へ裏へ・・・「裏勝り」の反骨“美学”は、江戸時代に施行された「奢侈禁止令」の流れを受けるものですが、男であれば和装のとき、自己満足であっても、その心意気は、時代を超えて吠(ほ)えていたいものです。

もっとも、それがミッキーマウスの顔では、ちょっと萎えてしまいますか-。反省!

(注=「独善的男乃着物考」シリーズは「日常」の項に収めています)
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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