“怪物クン”は次に何をしでかすか?

一人のスーパースターの存在は、あらゆる可能性を次々に生んでいく、ということで、心躍るものがあります。

ときとして奇想天外な構想も、ひょっとしたら“あり得るぞ!”と思わせるのも、その中心にスーパースターがいるからこそのことでしょう。

例えばかつて、こんなことがありました。1990年2月のこと。全盛期のプロボクシング統一世界ヘビー級王者マイク・タイソン(当時23歳=米国)が再来日し、東京ドームでジェームズ“バスター”ダグラス(米国)と防衛戦を行ったときです。

スポーツ新聞各社のボクシング担当記者が、試合前の話題づくりに日々、タイソン陣営に張り付いて密着取材を敢行する中、プロモーターのドン・キング氏がとんでもないことを口走りました。

〈この試合に勝ったら、次は“ベルリンの壁”で防衛戦をしたい〉

ン? ベルリンの壁? 1961年8月に東ドイツによって建設された、西ドイツを包囲するベルリンの壁は、冷戦の象徴として立ち塞がっていましたが、それも1989年11月に破壊され、年が明けて1990年は、東西ドイツ再統一に向けて動き始めたときでした。

興行主は、こうした情勢に目ざとく、たちまちそれを商売に結びつけてしまいます。敏腕プロモータのドン・キング氏であれば、そうしたおいしいネタで記者たちを躍らせることなどたやすいことでしょう。記者連中も、この話題を見逃しては、男がすたります。

無敵(当時)の“アイアン”マイク・タイソンを親善使節としてベルリンの壁跡に設置した特設リングで試合をする、という構想は、タイソンなら可能性のあることだ、ということでビッグ・ニュースになったものでした。

しかし、残念ながらタイソンは、この試合で初黒星を喫して王座を陥落。勝利を条件としたこの夢構想もあっさりと立ち消えになってしまいましたが・・・。

王座統一戦、ロマゴン戦・・・などへの期待

少々、前置きが長くなってしまいましたが、こうした夢物語をひょっとしたら実現させるのでは? と思わせるボクサーが、身近なところにも出てきたのでは・・・ということでクローズアップされるのが、WBO世界スーパーフライ級王者・井上尚弥(21=大橋)です。

プロ・デビューから6戦目の日本人世界奪取最速記録でWBC世界ライトフライ級王座を獲得。昨年12月30日には、難攻不落と言われたWBO世界スーパーフライ級王者オマール・ナルバエス(39=アルゼンチン)を2回KOに下してプロ・デビュー8戦目で2階級制覇を達成しました。

この快挙で一気にスーパースターの座に駆け上がった21歳は、2014年の年間表彰でも最優秀選手賞、KO賞、年間最高試合賞(対ナルバエス戦)の3冠を獲得しました。

私の周辺でも、昨年末の試合をテレビで観戦した友人たちから、井上の試合は凄かったね、という声を多く聞き、それだけ井上の認知度も、この試合で高まったということでしょう。

そうなると「次」への期待-。いつ、誰と・・・が大きな注目を集めます。

当面、誰と、に関しては、団体の王座統一戦が浮上。WBA王者には、日本の河野公平(ワタナベ)がおり、ターゲットの一つとなることは確かでしょう。

さらに・・・ビッグマッチというなら、大橋ジムの先輩・八重樫東からWBC世界フライ級王座を奪った“ロマゴン”ことローマン・ゴンザレス(ニカラグア、帝拳)との一戦もあります。

注目を集める井上なら、タイソンの舞台となった東京ドームでの開催も、可能性が出てこようというものです。

2015年のプロボクシング界は、世界王者が多い分、単なる防衛戦を戦った、というだけでは周囲が許さず、誰とどんな戦いをしたか、が問われるときとなりました。

そうした中で21歳の若きスーパースターが、何をしでかすか、目が離せなくなりました。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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