「上に立つ」ことの難しさ
「追う」立場より「追われる」立場のほうが、より厳しいことは言うまでもありません。それが「強くなる」ということなのでしょう。
テニスの「全豪オープン」(オーストラリア=メルボルンパーク)で、男子シングルス2回戦を逆転で勝ち抜いた錦織圭(25=日清食品)の試合に関し、スポーツキャスターの松岡修造氏がスポニチ本紙でこう解説していました。
〈(略)圭にとってドディグ(2回戦の相手イワン・ドディグ=クロアチア)は怖くない相手だと思っていた。(略)ベースラインの後ろで粘って粘って頑張るタイプだからだ。それがこの日は、ファーストサーブからリターンダッシュ。それしか考えていなかった。(略)圭は研究されている。(略)〉
この試合、錦織は第1セットを4-6で落としました。世界のトップ5(世界ランク5位)にのし上がった錦織に対し、世界ランク86位のドディグが、その名を挙げようと研究し尽くし、いつものラリー戦を捨てて番狂わせを狙ってくるのは当然でしょう。
つまり、世界のトップに立つプレーヤーにとって、安易な試合などは一つもなく、常にこうした、やっかいな“刺客”を相手にしなくてはならない、ということなのですね。
プロボクシングの元世界王者・浜田剛史氏が言いました。
〈世界王者になったとき、喜びは一瞬なんですね。直後から、ベルトを狙いにくる世界の挑戦者を相手にしなくてはならない日々がやってくるのですから・・・〉
世界へのチャレンジは、それこそ守るべきものがない分、攻めに徹することが出来ます。それより初防衛戦が難しいと言われるのは、王者にベルトを死守するというプレッシャーが加わり、対照的に「追う」立場のチャレンジャーが攻めに徹してくるからでしょう。「追われる」立場の厳しさ-。
では、そうした立場に立った世界王者たちは、何を身につけ“刺客”に立ち向かうのでしょうか。
世界中から来る“刺客”への対応
例えば、V7に成功しているWBC世界バンタム級王者・山中慎介(32=帝拳)の場合は?
彼が武器とする“ゴッド・レフト”は、既に研究し尽くされており、初期のままで7度の防衛を成し遂げるなどということはあり得ません。
挑戦者にとって、研究し尽くしたはずでも、終わってみたら左で倒されていた、ということは、山中の左の使い方に進化があるからです。
つまり、左を生かすために右をどう使うか、同様に下(ボディー)への攻めで上にスキをどうつくっていくか-などですね。
もう一つ。浜田氏が、世界王者なら身につけておかなければならない、と言う、大事なものは「対応力」です。
なにしろ相手は、ターゲットを徹底的に研究し尽くして番狂わせを狙ってくる、世界の“刺客”たちです。
いつもと違うことが起きようと、それは事前に見当もつかず、試合が始まってみなければ分かりません。
そうした場合、予想が外れても、コレがダメならソレ、ソレがダメならアレ、と次々に引き出しを開けられるかどうか、の「対応力」です。
この「対応力」に関して言うと、元2階級制覇達成の長谷川穂積(34=真正)は、見事なまでに多くの引き出しを持っていた選手でしたね。厄介な相手に手こずっても、最後は自分の攻めやすい形に相手を引っ張り込み、倒していたものでした。
錦織に話を戻すと-。
いつもは引いて構え、ラリー戦で来るドディグが、ガンガンと前に出て撹(かく)乱戦法にきたことで第1セットを落としても、慌てずに最後は競り勝ったということは、トップ・プレーヤーならではの「対応力」によるものといえるでしょう。
松岡氏はこうも言っています。
〈(略)体調が悪くても、自分のテニスができなくても、勝っていくのがトップ選手。(略)〉と-。
強者は、打倒を狙うチャレンジャーの、常に“それ以上”でなければならず、何ごとも、上に立つということ、そして、それを維持するということは、楽なことではないですね。
テニスの「全豪オープン」(オーストラリア=メルボルンパーク)で、男子シングルス2回戦を逆転で勝ち抜いた錦織圭(25=日清食品)の試合に関し、スポーツキャスターの松岡修造氏がスポニチ本紙でこう解説していました。
〈(略)圭にとってドディグ(2回戦の相手イワン・ドディグ=クロアチア)は怖くない相手だと思っていた。(略)ベースラインの後ろで粘って粘って頑張るタイプだからだ。それがこの日は、ファーストサーブからリターンダッシュ。それしか考えていなかった。(略)圭は研究されている。(略)〉
この試合、錦織は第1セットを4-6で落としました。世界のトップ5(世界ランク5位)にのし上がった錦織に対し、世界ランク86位のドディグが、その名を挙げようと研究し尽くし、いつものラリー戦を捨てて番狂わせを狙ってくるのは当然でしょう。
つまり、世界のトップに立つプレーヤーにとって、安易な試合などは一つもなく、常にこうした、やっかいな“刺客”を相手にしなくてはならない、ということなのですね。
プロボクシングの元世界王者・浜田剛史氏が言いました。
〈世界王者になったとき、喜びは一瞬なんですね。直後から、ベルトを狙いにくる世界の挑戦者を相手にしなくてはならない日々がやってくるのですから・・・〉
世界へのチャレンジは、それこそ守るべきものがない分、攻めに徹することが出来ます。それより初防衛戦が難しいと言われるのは、王者にベルトを死守するというプレッシャーが加わり、対照的に「追う」立場のチャレンジャーが攻めに徹してくるからでしょう。「追われる」立場の厳しさ-。
では、そうした立場に立った世界王者たちは、何を身につけ“刺客”に立ち向かうのでしょうか。
世界中から来る“刺客”への対応
例えば、V7に成功しているWBC世界バンタム級王者・山中慎介(32=帝拳)の場合は?
彼が武器とする“ゴッド・レフト”は、既に研究し尽くされており、初期のままで7度の防衛を成し遂げるなどということはあり得ません。
挑戦者にとって、研究し尽くしたはずでも、終わってみたら左で倒されていた、ということは、山中の左の使い方に進化があるからです。
つまり、左を生かすために右をどう使うか、同様に下(ボディー)への攻めで上にスキをどうつくっていくか-などですね。
もう一つ。浜田氏が、世界王者なら身につけておかなければならない、と言う、大事なものは「対応力」です。
なにしろ相手は、ターゲットを徹底的に研究し尽くして番狂わせを狙ってくる、世界の“刺客”たちです。
いつもと違うことが起きようと、それは事前に見当もつかず、試合が始まってみなければ分かりません。
そうした場合、予想が外れても、コレがダメならソレ、ソレがダメならアレ、と次々に引き出しを開けられるかどうか、の「対応力」です。
この「対応力」に関して言うと、元2階級制覇達成の長谷川穂積(34=真正)は、見事なまでに多くの引き出しを持っていた選手でしたね。厄介な相手に手こずっても、最後は自分の攻めやすい形に相手を引っ張り込み、倒していたものでした。
錦織に話を戻すと-。
いつもは引いて構え、ラリー戦で来るドディグが、ガンガンと前に出て撹(かく)乱戦法にきたことで第1セットを落としても、慌てずに最後は競り勝ったということは、トップ・プレーヤーならではの「対応力」によるものといえるでしょう。
松岡氏はこうも言っています。
〈(略)体調が悪くても、自分のテニスができなくても、勝っていくのがトップ選手。(略)〉と-。
強者は、打倒を狙うチャレンジャーの、常に“それ以上”でなければならず、何ごとも、上に立つということ、そして、それを維持するということは、楽なことではないですね。
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