重圧下の1打の背景にあるもの

何としても「1打縮めなければ」という状況下にあるプレーヤーの心理は、当たり前のことですが、相当に追い込まれます。

USPGAツアー「ファーマーズ・インシュランス・オープン」(米カリフォルニア州ラホヤ、トーリーパインズGC南・北コース)第2日(2月6日=日本時間同7日)の松山英樹(22=LEXUS)と石川遼(23=CASIO)です。(試合の模様は「NHK BS1」と「ゴルフネットワーク」が中継)

松山は17番を終えて通算イーブンパー、石川は8番(インスタート)を終えて通算1オーバー。通算1アンダーのカットライン(予選通過ライン)をクリアすべく、ともにパー5の最終ホールに、松山はバーディーを、石川はイーグルを、と命運を賭ける展開となりました。

女子プロゴルファーの宮里藍が信奉する、アニカ・ソレンスタム(引退)の元コーチ、ピア・ニールソン女史が著した「ゴルフ“ビジョン54”の哲学」にこんな興味深い記述が出てきます。

〈パティ・シーハン(注=USLPGAの殿堂入りを果たしているかつての名選手)は、トーナメントのパー5の最終ホールで、第2打をウォーター・ハザードの向こうのグリーンへフェアウエーウッドで打とうとしていた。勝ち抜くにはバーディーが不可欠で、できればイーグルを取っておきたいところだった〉

こちらは優勝狙い。松山、石川らとは目指すものが違いますが、心理状態は奇しくも同じといったところでしょう。

思考に左右される成否

ところが-。

〈結果は、その日最悪のスイングで~実際、おそらくはこれまでの試合の中でも最悪のスイングの一つ~完全にボールの頭を叩いてしまった。ボールがフェアウエーでバウンドし、グリーン手前のクリークに入ると、シーハンは優勝の可能性が消えたことを悟った〉

名手のシーハンがなぜ、こういうミスを犯したか? に対してニールソン女史は、こう解説しています。

要点は〈ショットを打つ前に“ためらった”ところにある。シーハンは当初、フェアウエーウッドに手を添えたが、アイアンに持ち替え、それからまた、フェアウエーウッドに持ち替えた〉-ショットに迷いが生じたせいで、その1打に集中できなかった。不十分な思考が不十分なスイングを生んだのだ、と-。

松山の18番は池越えの570ヤード、パー5。石川の9番は547ヤード、パー5。リスクはあるにしても、果敢に2オンで攻め、バーディー以上を取らなければならない状況。松山、石川に求められたものは、シーハンが抱いたような“迷い”を断ち切り、ただひたすら“この1打”に懸ける集中力と思い切りの良さ、だったでしょう。

結果は、2オンに成功した松山は、しかし、約15メートルのパットを2メートルもショート、3パットのパーでカットラインに1打届かず予選落ち。石川は、フェアウエーからの第2打をバンカーに入れ、寄せてバーディーを奪ったものの、こちらも1打届かず予選落ちとなりました。

2人が、この悔しい場面を振り返るとき、さまざまな要因が重なってなかなか、結論が出ないことだと思います。

シーハンのミスをニールソン女史はこう語っています。

〈そのようなショットを打った後は、ほとんどのゴルファーが練習場に行き、同じフェアウエーウッドで何度も何度もショットするだろう。それはまったくの時間とエネルギーの無駄遣いだ〉

つまり、ショットの失敗は〈スイングのせいではなく思考のせいなのだ〉としているのです。

こう考えるとき、悔しい思いをした2人のうち、石川のほうが心配です。3試合連続予選落ちが〈悪い思考〉を生まなければいいが・・・と。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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