厳しさを増す王者たちの戦い

ボクシング好きの友人が、不満顔で口をとがらせました。

〈ボクシングが世界戦だけでないのは分かっているよ。ホントに好きなヤツは、地道にホール(後楽園ホール)通いしているものね。でもネ・・・ちょっと偏(かたよ)りすぎていると思わないか?〉

つまり、昨年末の12月30、31日の2日間に計8試合もの世界戦をしてしまって、その後、間が空きすぎるのは、ファンを無視した「偏りすぎ」じゃないのか! というのが、彼の言い分でした。

確かに昨年末の世界戦ラッシュは、年末恒例の“風物詩的”興行としてファンを楽しませはしました。が、その一方、こんなに多くやってしまうということは、ベルトの価値の低下、1団体17階級×4団体の弊害ではないのか、との声が多く聞かれたことも確かでした。

実際、2日間8試合の世界戦集中興行は、もちろん、それぞれに見所はあっても、強烈なインパクトをファンに与えたのは、2階級制覇を達成したWBC世界スーパーフライ級新王者・井上尚弥(21=大橋)の鮮烈な2回KO劇だけだった、かもしれません。

さらに・・・やりすぎて“お腹いっぱい状態”ゆえに次戦への間が空きすぎるのは、友人が言うようにファン不在、テレビの事情優先! のような気がして私自身、友人の不満に“確かにそうだね”とうなづくしかありませんでした。

・・・といった背景の中、ようやくWBC世界バンタム級王者・山中慎介(32=帝拳)の試合、8度目の防衛戦が発表されました。

口火を切る“神の左”

4月16日、大阪・ボディメーカーコロシアム、相手は同級7位のディエゴ・サンティリャン(27=アルゼンチン)です。

山中にとっては昨年10月22日(東京・代々木第二体育館)のV7戦、スリヤン・ソールンビサイ(タイ)戦=判定勝ち=以来、6カ月ぶりの試合となります。

このV7戦後、山中陣営は次戦への模索として、IBF王者ランディ・カバジェロ(米国)やWBO王者・亀田和毅ら他団体王者との統一戦構想を描いていました。

団体が増え、王者も乱立傾向にある現状では、このあたりが難しいところです。つまり、王者の防衛戦にしても、誰とでもやればいい、では許されず、今年は特に〈誰とやったか〉〈どんな試合を見せたか〉が、シビアに問われるときに入ってきているのです。

山中は結局、お目当ての他団体王者たちとの統一戦は、交渉の難航により、今回は流れ、代わって23戦全勝(15KO)の戦績を誇るサンティリャンが挑戦者となりました。

が、山中は、ただ勝てばいい、では、久々に世界戦を観るファンを納得させられないでしょう。最も大事なことは、どんな勝ち方をして次戦、今回は流れた他団体王者との統一戦にこぎつけられるか、にあり、目の前のサンティリャンと戦いつつ、このメーンテーマとも戦ってもらいたいと思います。

昨年末の計8試合の世界戦ラッシュ、テレビ3局の乱戦は、賛否両論の中、一方、今年の新しいボクシング界の形を模索したものだったかもしれません。

つまり、V9を達成したWBA世界スーパーフェザー級王者・内山高志(ワタナベ)が言う「ひどい試合をしたら見向きもされないだろうな」という自覚です。

王者といえど、いや王者だらこそ、でしょうが、安閑としてはいられない、厳しい時代に入った、ということが言えるかもしれません。

・・・と、友人には付け加えておきましたが、どうでしょうか。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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