妙に記憶に残るボクサー

先日(9月20日)行われたプロボクシングWBA世界スーパーフェザー級王者・内山高志(ワタナベ)の防衛戦(内山が5回TKO勝ち)で、ずっと気になっていた選手の試合を久々に見ることができました。前座の東洋太平洋ライト級タイトルマッチに登場、王者・三垣龍次(MT)に挑戦した金井アキノリ(27=姫路木下)です。

(善戦する金井=左=だったが・・・)
金井アキノリ

金井が東京・後楽園ホールに初登場したのは05年1月のことでした。当時、日本フェザー級王者の榎洋之(角海老宝石)に挑戦するタイトルマッチです。そのとき金井は、プロデビュー以来、14戦連続KO勝利を続けており、15戦目のこのタイトルマッチは、日本タイトル奪取に加えて浜田剛史氏(帝拳)が持つ15連続KO勝利の日本記録が懸かる試合となりました。

それは金井陣営の“誠意”だったかもしれません。記録をどうするか、の問題に対してです。普通に考えるならまず、勝ちが見込まれる相手との試合で連続KO勝利の記録をつくっておき、日本タイトル挑戦はその後でも遅くはないだろう、というのが順序でしょう。

が、金井陣営は「(連続KO勝利が)本物だということを証明したい」とあえて、この危険な賭けに踏み切ったのでした。

この試合、金井は完敗を喫してしまいます。榎の左に翻弄(ほんろう)され、合わせたクロスも、これまでの相手なら倒れたかもしれませんが、榎には通用せずにはね返され、さんざん痛めつけられた末に7回、レフェリーストップでTKO負けとなりました。金井にとっては、これまでの14戦とは明らかに違う、ワンランク上のレベルでの戦い。いずれは向かい合わなければならない“壁”に、このときは手ひどくはね返された形となりました。

金井陣営の勇気と心意気、そして敗戦。私はこの試合の金井を見て「あのときのチャレンジはムダではなかった」と思えるような将来を築いてほしいと願ったものでした。とともに金井の存在は、妙に記憶に残る選手として胸中に焼き付けられたものでした。

5年間で得たものは?

榎戦後の金井は、パッとせずに勝ち負けを繰り返し、07年には一度、引退もして今年2月に復帰、その後の3戦は連続KO勝利で今回の東洋太平洋王座への挑戦にこぎつけました。

その試合は倒し倒され、ダウンの応酬というスリリングなものになりました。まず金井が2回に先制のダウンを奪います。ドッと沸く場内。が、3回は王者の三垣がダウンを奪い返し、またまた場内を沸かせます。その後はともに倒し合いの激しい攻防。最後は王者の圧倒的な攻めにより、金井は6回TKO負けでタイトル奪取はなりませんでした。

榎戦のとき、試合を観戦した記録保持者の浜田氏がこう言ったことを思い出します。

「金井は根性のあるいい選手。今後、本領を発揮できるかどうか。すべてはここからスタートでしょう」

金井にとって、そこからスタート、今日までの5年間はどうだったのでしょうか。日本王座へのチャレンジ以来、2度目のタイトル挑戦となった東洋太平洋王座も結局、届かず、あのときのチャレンジはムダではなかった、と思えるような結果ではなかったかもしれません。

しかし、ネバーギブアップ! 金井にはまた、何とか立ち直ってほしいものです。

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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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