ローマは一日にして成らず!

先日、私が中学まで学んだ学校(神奈川県藤沢市=私立校)の先輩である内山勝氏(71)と懇談する機会を得ました。

内山氏については、テニス愛好家の方々ならご存知のことと思いますが、現在、日本テニス協会の専務理事を務め、一方、藤沢市にある「(株)荏原湘南スポーツセンター」代表取締役の要職にも就いています。

現役時代は、全日本学生選手権、全日本選手権など数々の大会で活躍していますが、本人が「選手よりコーチに興味があった」と振り返ったように、手腕を発揮したのはコーチ業のほうで1972年、コーチ業を学ぶため、日本人で初めて米国フロリダ州のスクールに出向いています。

帰国後は、ジュニア代表やフェドカップ(女子テニスの国別対抗戦)代表などの各監督を歴任。これまで杉山愛、雉子牟田明子、雉子牟田直子らの選手を指導、トップ・プレーヤーに育成しています。

さて・・・昨今、錦織圭(25=日清食品)の世界的活躍により、テニスに熱い視線が注がれ、世の子を持つ親たちは、我が子を“第2の錦織に!”と子供以上に? 一生懸命のようなのですが、内山氏は、育成の段階で「実は親の、この熱心さが最大の問題なんですね」と話します。

つまり、急ぎ過ぎ、とでもいいますか、内山氏は「テニスは個人のスポーツであり“自立のスポーツ”なのだから、子供たちにまず、自立の意識が生まれなければダメなんです」と口を酸(す)っぱくして言い続けても、親たちは、なかなかそれが理解できないのだそうです。

・・・ということを聞いて、あれ? これはどこかで聞いたことがある話だな、と思い出したのが、宮里3兄妹をプロゴルファーとして世に出した父親・宮里優さんの言葉でした。

親たちは「縁の下の力持ち」でいい

宮里藍が2003年秋にプロ転向を宣言して翌04年、JLPGAツアーに本格参戦した当時、優さんの拠点である「大北ゴルフ練習場」(沖縄県名護市)には、親が“第2の藍ちゃんに”と願う子供たちが多く集まりました。

こうした子供たちに対する、優さんの指導方針は、何でもいいからまず、クラブを自由に“思い切り振り回すこと”であり、打球が曲がろうとどうであろうとまず、それを“楽しむこと”でした。

・・・が、その練習風景を見た親たちは、眉をしかめます。

うちの子は、まともに球が打てていないではないか、あんなに曲がってしまっているではないか、早く藍ちゃんみたいな球を打てるように教えてほしい! と-。

こうした傾向を優さんは、厳しく戒めました。

〈親の高望みにより、どこかで子供がバーニングアウトするケースですね。ゴルフというゲームはもともと、楽しみであり娯楽なんです。それが苦痛になってしまっては続けられない。勉強だって同じでしょ。とことん一緒に楽しもう! から始まって、そこから上に行くのは、上に行きたいという意識が生じてからですよ〉

そういえばテニス同様、ゴルフも内山氏が指摘した通り、自立を必要とするスポーツです。

かつて、ゴルフの日米大学対抗戦があり、日本代表チームを率いた監督に話を聞いたところ、今、選手たちに最も必要なことは「フランス料理のフルコースの食べ方だな」という“禅問答”のような返事が返ってきたことを思い出します。

その監督が言いたかったことは、コースに出れば、何が起きようと助けなどなく、1人ですべてを判断し戦わなくてはならないゴルフ・ゲームにおいて、もっとも大事なことは、球を打つこと以前に、フランス料理のフルコースの食べ方に例えた、一般的な社会常識、正しい判断力なのではないか、ということでした。

いろいろと奥が深いですね。指導者はさまざまなことを考え大変です。

が、親は・・・。目の前に見えていることで即、判断! 上達を急ぎます。

慌てず騒がず-「ローマは一日にして成らず」-長い目で見て“第2の錦織”“第2の藍ちゃん”が育成されれば・・・と思いますね。

親たちは、そんな指導の妨げにならないよう、縁の下の力持ち、となればいいのです。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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