変則打法に熱視線!

“1年限り”の条件付きで今季の米女子プロゴルフ・ツアーに参戦している横峯さくら(29=エプソン)が、やっと調子を上げてきました。

出場3試合連続予選落ちにより、意気込みが空回りする中、前週の「起亜クラシック」(3月29日=日本時間同30日=最終日、米カリフォルニア州カールズバッド=アビアラGC)で、4戦目にして初の予選通過を果たしたと思ったら、勢いに乗って最終日は最終組で優勝争いまで演じてしまいました。

結果は、優勝スコアから7打離され、通算13アンダーで8位に終わりましたが、上位グループに入ってきたことで一気に注目を集めたのが、あの独特の“横峯流スイング”でした。

スポニチ本紙は、横峯の健闘を伝える記事の中で〈ツアーを中継する米テレビ番組では「ショットはバックスイングが大きく、パットはバックスイングが小さい、特徴的なスイングの選手」と紹介された〉と記述しています。

日本のファンには、ショットの際、トップ・オブ・スイングでクラブヘッドが地面に届きそうになるほど下がる、横峯のオーバースイングは、既におなじみです。

オーバースイングという形(目に見える様子)については、あの“飛ばし屋”ジョン・デーリーに似ている(もちろん内容はまったく違うものですが・・・)というので、ニックネームをつけるのが好きな米メディアは、さっそく「和製ジョン・デーリー」などと命名したようです。

個性的、というか、やむなく変則的にせざるを得なかった時代が、かつて日本にはありました。

その代表が、樋口久子(現・JLPGA相談役)の、いわゆる“スエー打法”だったでしょうか。

非力をカバーするための工夫の末に・・・

彼女のスイングは、バックスイング→インパクト→フォロースイングの動作で上体が右から左へと移動します。だから“スエー打法”と命名されましたが、実際は下半身は動いておらず、樋口自身は常々「スエーではない」と話していました。

この独特のスイングは、女性の非力をカバーするためにつくり出されたものです。

この変則的スイングを引っさげて彼女は1977年、メジャー競技の全米女子プロ選手権を制覇してしまったのですから、米メディアは“ここぞ!”とばかり、そのスイングを〈マグネティック・スイング〉と名づけて称えました。つまり、動いても肝心のところでは、磁石に吸い付くようにピタリと戻るスイング、という意味でした。

この頃の女子プロゴルファーたちは、非力をカバーするために、飛距離を出すために、多くがオーバースイングは定番ともいえるスイングをしていました。

その傾向に変化をもたらしたのが1974年秋、ソフトボールから転向した岡本綾子の登場によってでした。

岡本には、ソフトボール時代に培われた基礎体力があり、ゴルフのスイングにしても、トップ・オブ・スイングでヘッドが地面に向いて下がることのない、男子プロ同様の、左手親指の上にシャフトを乗せてピタリと水平に支える力がありました。

女子といえども、オーソドックスなスイングで、しかもボールをしっかりと遠くに飛ばす時代の到来と言えたでしょうか。

現在の女子ツアー界は、若手選手の体力の向上もあり、横峯流スイングがむしろ“例外的”と言えるほど、変則的なスイングが少なくなっています。

男子プロでは、青木功のドライバーからパットまで、あの前かがみで手首を使った独特の“青木流”が、米国では大人気になりました。

1980年の全米オープンで“帝王”ジャック・ニクラウス(米国)と4日間の激闘を演じた「バルタスロルの死闘」(結果は2位)では、あの青木のショット、奇跡的なショートゲームは〈オリエンタル・マジック〉と名づけられ、大健闘が称えられたものでした。

多民族系の米国では、独力でドリームを目指す人々が尊敬され、その勇気に敬意が表されます。

スポット参戦で単身乗り込み、独特のスイングでメジャーを勝ち取った樋口しかり-。

軌跡の一打、PWで128ヤードを放り込み、逆転のイーグルでハワイアン・オープンを制した青木しかり-。

変則打法を武器に自らの道を頑固に進む彼や彼女たちに米国人は、祖先たちの開拓者魂をダブらせるのかもしれません。

米女子プロゴルフは今週、今季のメジャー第1弾となる「ANAインスピレーション(昨年までのクラフト・ナビスコ選手権)」(現地時間4月2日開幕、米カリフォルニア州ランチョミラージュ=ミッションヒルズCC)が開催されます。

調子上昇の横峯が「和製デーリー」の活躍で米国人ファンを沸かせるかどうか、目が離せなくなりました。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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