レジェンドたちの居場所

サッカーの“カズ”こと三浦知良(48)の活躍が、世の中年族に勇気と活力を与えています。

実際、私の友人も「よくやっているな~と思うね。ああいうのを見ると頭が下がるし、こちらもホント、やる気が出る、まだまだ頑張ってみよう! という気になるよな」と感動的な言葉を口にしていました。

J2横浜FCのカズは、4月5日の磐田戦に先発、前半14分にヘディングで先制点を決めました。

カズの得点は、2013年11月3日の松本戦以来のこと。自身が持つJリーグ最年長ゴール記録を「48歳1カ月10日」に更新しました。

歓喜のカズダンスに観客も沸き、チームメートが次々にカズに飛びかかる手荒い祝福は、48歳でまだ、現役にこだわり、前向きの心を失わないカズという男への敬意がにじみ出ていました。

スポーツ各界に接していてこのところ、急激に進んでいるなァ、と感じるのが「15歳」を中心とする若年層の台頭です。

それは、特に卓球界で顕著だし、米女子プロゴルフ界でも、ツアーを引っ張っているのは、世界ランク1位に躍り出た17歳の韓国系ニュージーランド人のリディア・コなのです。

そうした中に一方、カズがいて、またプロ野球界には今季、マーリンズに移籍したMLBで15年目のシーズンを迎えたイチロー(41)がいて、またノルディックスキー・ジャンプ男子には“レジェンド”葛西紀明(42)がいます。

葛西は今季のW杯総合順位は6位ながら、最年長表彰台記録を42歳9カ月に更新する活躍を演じています。

“戦う教科書”が与える重さ

伸び盛りの若手選手が、黙っていても勢いでのし上がってくるのとは対照的に、常に見え隠れしている限界と戦うことを余儀なくされる40代選手には、どこに戦うモチベーションを置くのか、どうしたら気持ちを前向きに保てるのか、を自問自答しながらの日々となります。

カズのゴールを報じたスポニチ本紙は、カズのコメントとともに状況をこう伝えています。

〈「FWにとって幸せな瞬間。あの一瞬に懸けて勝負してるんだ」そして瞬発力や加速の衰えを「最初に感じたのは30歳のころ」であり、そうした認めたくない現実を受け入れて鍛錬を重ねたことにより「30歳のころより、うまく、軽く、走れていると感じることがある」〉

いい記述ですね。ここにカズの現役にこだわるすべてがあるような気がします。

以前、40代となって来日したグレイシー柔術の格闘家ヒクソン・グレイシー(ブラジル)をインタビューしたとき、私は「今と20代のころとどちらが強いか」という質問したことがありました。

このときヒクソンは、間髪を入れず「今」といい「20代のころに比べて衰えた体力は、経験がカバーしているし、何よりも、どんな状況になっても、それに対応できる積み重ねがある」と話してくれたものでした。

日本のプロボクシング界には以前、とことん現役にこだわった元東洋太平洋スーパーミドル級王者の西沢ヨシノリ(ヨネクラ)というボクサーがいました。30代後半まで頑張った西沢は、ジムには常に新鮮な発見がある、練習に飽きることはない、と前向きの姿勢を崩しませんでした。

プロボクシング界なら、1965年1月生まれ、50歳で現役という怪物、死刑執行人の異名を持つバーナード・ホプキンス(米国)がいます。

ホプキンスは昨年11月、WBO世界ライトヘビー級王者セルゲイ・コバレフ(ロシア)とホプキンスが持つWBA&IBF世界ライトヘビー級王座の3団体のベルトを懸けて激突しましたが、判定で敗れました。

このとき、ホプキンス49歳、コバレフ31歳-。

ホプキンスの健闘により、年齢の壁を超えて判定にまでもつれ込んだ戦いは、見る側に感動を与えた、と報じられました。

新旧の激突は、そこが“見所”となるのでしょう。

レジェンドたちの積み重ねた経験は、勝負を超えて若手たちの教科書となり、若手たちも拳を交えながら教えられている、ということなのです。

イチローが、若いチームメートに囲まれて「センセイ」と敬われるのも、そういうことなのでしょう。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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