“野心”との戦いがまた始まった!

USPGAツアーの今季メジャー第1戦となる「マスターズ」(米ジョージア州オーガスタ=オーガスタ・ナショナルGC)が4月9日(日本時間同日夜)開幕しました。

世界の“マスター(名手)”たちの祭典-今年はどんなドラマを見せてくれるのだろうか、と心が躍ります。

毎年、この時期が来ると思い出すのが、青木功(72)と中嶋常幸(60)の言葉です。

この2人がマスターズ出場の常連だった1980年代。1番ティーグラウンドに立った青木が感慨深げに言いました。

〈あのバンカーね。あれがオレの一年間のゴルフを見ているんだよな。成長があれば小さく見える。なければ大きく見える。不思議なコースだよな〉

当時の1番は、400ヤードのパー4でした。ティーグラウンドの前方からゆるやかな下り坂。下って上り切った付近が第1打の落とし場所となりますが、ちょうどそのあたり、要注意となる右サイドのフェアウエーバンカーが、青木の心理に大きなプレッシャーをかけていました。

今、その1番は、455ヤード(パー4)と距離が延びており、バンカーを越すには300ヤード超の飛距離を要するため、フェアウエーのセンター狙いが定石となっていますが、バンカーへの要注意度は依然、変わりはないようです。

マスターズに“男のロマン”を追い求める中嶋は、こう言いました。

〈またここに来られてね、真っ白いキャンバスにどんな絵が描けるだろうか、ということだろうね。最後まで(4日間)描かせてもらえれば幸せだけどね〉

つまり、日本を代表する2強でも、このオーガスタ・ナショナルGCを舞台とする戦いは、いってみれば“学びの場”であり、前年4月から1年間やってきた自分のゴルフの良し悪しを問いかける場であったことが、謙虚に満ちたそれぞれの言葉から感じられたものでした。

過酷な心理戦-カギを握る平常心

1934年から毎年、コースを変えずに同一コースで開催されるマスターズという大会は、青木や中嶋だけに限らず、世界のプレーヤーにとって、それぞれがコースに試される大会なのであり、だから「グリーン・ジャケット」への想いは格別なのでしょう。

“球聖”ボビー・ジョーンズがつくり上げた(共同設計アリスター・マッケンジー)オーガスタ・ナショナルGCは、不思議なコースです。

その概念をジョーンズは自著「ゴルフはわが人生」(東京創元新社刊)の中でこう記述しています。

〈アベレージ・ゴルファーには攻めやすく、しかも、パー・プレーを目指して努力しているエキスパートをテストするといった、自然美を生かしたコースを誕生させるところにあった〉

さらにこうも記述されています。

〈素直に攻めればボギーはやさしく、いちおう良いプレーをすればパーは出せるし、相当見事なプレーをすればパー5のホール以外ではバーディーを出せるようなコースを望んだのである〉

であるなら、世界の名手たちがなぜ、あれほどの苦闘を強いられるのだろうか、と思ってしまいますが、セント・アンドリュース・オールドコースの礼賛者であるジョーンズは、自然がつくり出したハザードにこだわり、その厳しさは〈だいたいプレーヤーが“野心”を起こしたときに厳しさを増す〉としているのです。

つまり、オーガスタ・ナショナルGCとの戦いは、プレーヤーが内面に秘める野心との戦いであり、コースに“魔物が棲む”と言われるのは、そういうことなのです。

そうした心理戦がまた、今年も始まりました。

日本からただひとり出場の松山英樹(23=LEXUS)は、果たしてどんな戦いを見せてくれるでしょうか。

昨年(予選落ち)に続き2年連続4度目の出場ですが、上位躍進のカギを握るのは、やはり、内面の野心をどれだけ抑えられるか、平常心のプレーに懸かっているかもしれません。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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