子供への親の監督責任の範囲は?

小田急線で東京(新宿)方面に向かっているときでした。

電車がある駅に停車しているとき、母親と思われる女性が、車両中に響き渡る大声で「ダメーッ!」と叫びました。何ごとか! と車内に緊張感が走ります。

その女性は、2人の子供(男の子と女の子)とともに電車に乗ってきて、その駅で子供たちだけが降りました。降りたホームで車中の女性を見守っていた男の子が、ドアが閉まって発車寸前の電車に駆け寄り、扉に手をついたのです。

女性の悲鳴と身振りによる“離れてッ!”の動作で事なきを得ましたが、一つ間違えれば惨事にもなりかねない出来事、車内の乗客も一様にホッとした顔を見せていました。

こうした出来事に接して思ったことは、子供の何気ない動作に対して親はどこまで監督責任を負うのか、ということです。

というのも4月中旬、サッカーボール訴訟に対して最高裁が「通常では危険性のない行為による予測不可能で偶発的事故について、親は賠償責任を負わない」という判決を出したからです。

このサッカーボール訴訟は、小学校の校庭から飛んできたサッカーボールを、バイクを運転中の男性が避けようとして転倒、死亡したことに対し、男性の遺族が、ボールを蹴り出した少年の親に損害賠償を求めた、という出来事でした。

冒頭に記した出来事も、もし電車に駆け寄った子供が、例えば高齢者にぶつかって第三者を巻き込んだ事故を起こしたとしたら、サッカーボール訴訟と同様、親の監督義務が問われる事故となったかもしれません。

〈結果の予測が不可能〉なことに対しては〈親の監督責任外〉とした最高裁の判決は、子を持つ親にとっては“納得”の判決だったかもしれません。

最高裁判決がもたらすもの

が、昨今の世の中、結果の予測が不可能、とはいえ、日ごろの親のしつけ、注意の喚起によって避けられたかもしれない出来事が増えています。

例えば私自身、あわや! の冷や汗をかいた、横道からブレーキをかけずに飛び出して来た小学生が運転する自転車との接触、という出来事があります。

自転車の暴走に伴う人身事故は最近、厳しい賠償責任が科されていますが、偶発的な事故か、ルールの順守や気配りがあれば避けられた事故か、の判断は、かなり難しいもののように思えます。

もうひとつ、では「子供たちの声」は騒音かどうか、という議論が最近、沸騰しています。

昨年9月、保育園(神戸市灘区)から聞こえる「子供たちの声がうるさい」として近隣に住む70代の男性が、防音設備の設置や慰謝料を求める訴訟を起こした、という出来事がありました。

保育園から聞こえてくる子供たちの声は、果たして“騒音か”という議論は、ではその音を計測してみましょう、他の騒音、航空機の発する音などと比較して○○デシベルでした・・・などという問題ではなく、普通、子供たちの元気な声、それが“騒音的”であったとしても、大人たちはニコニコと見守っているべき問題でしょう。

もし、子供たちの声が騒音の規制対象となり、ひいては親の監督責任に含まれるようなことにでもなれば、親は常に子供たちに沈黙を強いる、それこそおかしな世の中になってしまいかねません。

もちろん、子供たちの声を騒音とする側にも、それなりの事情はあると思います。

私自身、まだ子供が小さいとき、深夜の帰宅で少しでも多く睡眠がとりたいとき、子供の泣き声でそれが阻まれると、つい感情的になってしまった、などのことが思い出されます。

そうした様々なことを思い浮かべるとき、サッカーボール訴訟における最高裁判決は、その根っこに、子供たちのあるべき姿の尊重、が感じられます。

つまり、目の前にサッカーボールがあって、どこへ飛ぶかわからないからといって蹴らないのはおかしいだろう、目の前に野球のボールがあって、どこへ行くかわからないからといって投げないのはおかしいだろう、ということです。

親の監督責任を追及することによって、子供たちが引きこもってしまうなら、それも大きな問題となってしまうことでしょう。
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はつよろです♪

なんだかファンになっちゃいました((@^ェ^@))

わたしですね…このところついてなくて(汗)
すべり台を滑っても滑ってもゴールが無い感じなんて言えば少しは伝わりますか?
ものすごい急降下中なんです。。

そんなこんなで色んなブログ読み漁ってたらここで足が止まりました(≧∇≦)キャー♪不思議と心惹かれたんです。
佐藤 彰雄さんも色んな時間を過ごされてるんですよね。きっと。。

急なお願いで戸惑わせてしまうかもしれませんが
話し込んでみたいというか話しを聞いてもらえたらって気持ちを持たずにはいられなかったんです(`▽´)

連絡してくれたら有難いです。
もしも迷惑であればコメントごと私のこと消してください。
プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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