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武道柔道vs競技JUDO

9月に東京で開催された柔道の世界選手権を振り返りながら先日、スポニチ本紙の柔道担当記者と雑談していたところ、あの「指導」が、今後の国際大会でもっと厳しく強化されるだろう、という話になりました。欧州勢を軸に「競技JUDO」化が進む中、これはいったい、何を意味するのでしょうか。

「指導(教育的指導)」とは、柔道の試合での反則判定ですが、国際柔道連盟(IJF)ルールによると、指導が出される基準としては①約20秒間、相手と取り組まず、勝負をしようとしないとき、また②スタンドで約60秒間以上、防御姿勢を取り続けるとき、など競技者の“消極性”について科されるペナルティで、2度受けると「有効」が、3度受けると「技あり」が、相手のポイントとして入り、4度受けると本人の「反則負け」となってしまいます。

私自身は、この「指導」という反則判定に接するたびに、それを受けた選手がどうにも気の毒になってしまいます。もちろん、ものものしい名称である「教育的指導」に値するだけの消極的な選手はいて、ぺナルティを受けても仕方ないという状況もあるのですが、私が気の毒だと思ってしまうのは、どうしてもこの「指導」という反則判定の基準が、試合の迅速化、つまり「競技JUDO」のためにあるのでは? あるいは対戦者の勝負のためではなく、観戦者を楽しませるためにあるのでは? とちょっぴり、うがった受け止め方をしてしまうからです。

「指導」が奪ってしまうもの

人対人、1対1の格闘技であれば、相手が出てきたときにこちらは引く、あるいは機を待つ、というやりとりは、しばしば起きるでしょう。引きながら、待ちながら、どう対処するか。それが日本の守りたい「武道柔道」でしょうし、その矢先の「指導」宣告、つまり、ちょっと(指摘が)早いのでは? というケースが結構、あったように思われました。

今回の東京大会で日本勢の活躍はめざましく、男子勢は金ゼロの低調に終わった前回オランダ大会の雪辱を果たしたと評価されましたが、一方、その背景にある地元開催のホームタウンデシジョン的なルール改正が味方をした、という声が上がったこともまた確かです。つまり、勢いづく欧州勢が得意とするレスリング的なタックル、あるいは足取りなどを、組む前に行ってはならない、というルールが、組んで投げる日本の「武道柔道」にどれだけ味方をしたか、ということです。

しかし、そう考えてみると、日本が本家として掲げる一本勝ちの武道柔道も、結局はルールの中で成り立っているのか、と思わざるを得ません。日本が欧州勢の競技JUDO、つまり、組まずにいきなりのタックルとか、あるいは投げられながらの返し技などを“邪道”と批判するのは勝手ですが、武道としての本質で言うなら、それらのすべてを含めて一本勝ちすることが、本家・柔道の強さといったところではないでしょうか。

柔道担当記者が指摘した「指導」の強化の可能性は、次回の世界選手権、フランス大会での欧州勢の巻き返しを意味しています。つまり、武道的思考の排除。日本が本家を貫くためには、相当な覚悟が必要となりそうな情勢です。




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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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