ニューヒーローを待ち受ける試練

行きつけの「飲み処(どころ)」でやっていると、常連の顔見知りが話題を振ってきました。

〈これも団体が増えたことによる“恩恵”なんだろうかね~〉

ン? 恩恵? 何のことかと思ったら、5月のプロボクシングWBO世界ミニマム級王座決定戦(愛知・パークアリーナ小牧)で同級1位のフリアン・イエドラス(メキシコ)を判定(3-0)に下して新チャンピオンになった田中恒成(19=畑中)についてでした。(注=田中の年齢は試合時。現在は20歳)

プロ5戦目の国内最速記録での世界王座奪取。日本人4人目となる10代(19歳11カ月)世界王者・・・。

このニューヒーローに対して顔見知りの言い分は〈快挙なんだろうが、キャリアがモノをいうこの世界で、ちょっと信じ難い出来ごとだよな〉でした。

まあ、そう言われれば、確かにその通りかもしれません。中部エリアのボクサーなので私自身、存在についてそれほどの情報を持たずにいましたし、結果への期待も正直、薄いものでした。

中京高2年時までに国体、高校総体など4度の全国大会優勝。3年時の高校総体(3位)後にプロ転向。何しろ世界に挑んだ2015年5月30日の、わずか1年半前にプロデビュー(6回戦=判定勝ち)したばかりなのですから、いくらアマチュアで秀でていたからといってプロでは・・・と強さを説明しようがありません。

真価が問われる初防衛戦

ロンドン五輪ボクシング(ミドル級)金メダリストの村田諒太(帝拳)が、プロの道を歩き始めたころ、ジムの先輩であり、元世界王者の浜田剛史氏と「プロとアマの差」について話したことがありました。

プロデビュー戦から4戦連続KO勝利を含み、目下7連勝の村田ですが、浜田氏は「採点の基準がアマチュアをプロの世界で戦いやすくしている」と指摘しました。

つまり、かつては“決定打”こそがプロの戦いであり、採点の基準も、ジャブはポイントになりにくいとされていましたが、昨今のラスベガス方式では、10-10をつけないこともあり、ジャブを含む手数が積極的に有効とされるように変わってきました。

それが、プロに転向して日が浅い選手でも、アマチュア時代の戦い方でプロの試合に臨めるようになっている、ということでした。

なるほど、ですね。

王座を奪取した試合、田中は、打ち合いを挑むイエドラスのプロらしい接近戦に付き合わず、スピード感あふれる左を軸に距離を保ち、手数を出して上手い戦い方をしていました。

序盤のこのあたりは、アマチュア時代の延長線上にある、自分に無理のない戦い方だったかもしれません。

が、中盤に入り、イエドラスの強引に前に出て距離をつぶしにかかる接近戦に付き合ってから、細かいパンチを受けるなど、観る側には“プロの洗礼”を思わせる展開にもなっていました。

わずかプロ5戦目で新チャンピオンとなった背景に、確かに顔見知りが指摘したように、団体が増えたことによりチャンスもまた増えた、ということは否定できないことでしょう。

しかし、田中に言えることは、とにかく次の試合が見たい、ということです。

接近戦での不安もあった中、若さと勢いで切り抜けた王座決定戦の経験を経て、初防衛戦ではどれだけ成長し“幅”を広げることが出来ているでしょうか。

次戦は現在、未定とのことですが、次の試合は“中京の怪物像”を浮き彫りにする、大事な戦いとなりそうです。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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