オ~イ、みんな、出て来いや~!

先に終了したレスリングの「全日本選抜選手権」(6月21日最終日=東京・代々木第二体育館)で女子の“2枚看板”吉田沙保里(32=ALSOK)と伊調馨(31=ALSOK)が、53キロ級と58キロ級をそれぞれ制し、9月にラスベガス(米ネバダ州)で開催される「世界選手権」の出場権を獲得しました。

・・・が、この大会、ちょっと異変? がありました。伊調の58キロ級出場者が何と3人だけとなったのです。

五輪3連覇中の吉田とともに伊調も、04年アテネ、08年北京、12年ロンドン、と五輪3連覇中(いずれも63キロ級)です。

16年リオ五輪での4連覇を目指す伊調は、階級を58キロに下げましたが、伊調がここに来るなら…と他選手がこのクラスを敬遠、他階級に戦いの場を移したことが原因となりました。

結果、58キロ級は、出場3選手による総当たりの“巴戦”で争われ、伊調は1分33秒、56秒の速攻勝負で2人をそれぞれ下し、2試合計149秒で同級を制覇しました。

この勝利を「圧巻」というのか「圧勝」というのか、あるは「貫禄」というのか、強さを表現する言葉はさまざまでしょうが、伊調にしてみれば、ライバルも不在、勝利の実感が沸かない「物足りなさ」ばかりが残ってしまったのではないかと思います。

強さゆえに戦う相手がいないという状況は、格闘技の世界では珍しくはありません。

“打倒の気概”を持ってほしい!

例えばプロボクシングの世界には、誰もが戦うことを嫌がるWBC世界フライ級王者ローマン・ゴンザレス(28=ニカラグア、帝拳)がいます。目下、43戦全勝(37KO)の無敵の戦士-。

“ロマゴン”と呼ばれるこの怪物は、05年にプロデビュー、07年に日本の帝拳プロモーションとマネジメント契約を結んでいます。

向かうところ敵なしの連戦連勝で簡単に戦う相手が見つからない中、それでもWBA世界ミニマム級王座獲得(V3)、同世界ライトフライ級王座獲得(V5)を経て、3階級制覇を目指すとき、やってやろうじゃないか! と手を挙げたのが、WBC世界フライ級王者・八重樫東(大橋)でした。

14年9月5日、東京・代々木第二体育館で行われた八重樫vsゴンザレスのWBC世界フライ級タイトルマッチは、いまさら説明などいらないと思います。

試合前、ゴンザレスを圧倒的有利とする下馬評の中、八重樫は「難しいことに挑戦するとき、最初に成功する可能性なんて10%以下だと思う。子供が自転車に乗れるようになるときもそう。でも。乗り越えられないものはない」と話しました。

そして試合・・・八重樫は「やらなければやられる。向かっていくしかない」と3発、4発、5発と何度殴られても殴り返しました。KO負けとなっても、その心意気、逃げない真っ向勝負は、見守るファンの心を熱くしたものでした。

そして・・・ゴンザレスの八重樫への感謝の気持ち-。

格闘技とは、そういうものでしょう。何が観る側のハートを熱くするのか、ということです。

男の世界の出来ごと、プロとアマの勝負の仕方の差・・・比較など無理は承知で書いています。

が、男女の差を超えて、レスリングという厳しい競技でいうなら、絶対王者に向けて“打倒!”を突きつける刺客が数多く出てこなければ話になりません。

伊調にしても、55キロ級時代には、無敵の吉田にぶつかって跳ね返され、悔しさをかみしめるときがあったのですから。

ぶつかって負ける、悔しい思い、それがあってこそ、次に強くなった自分が感じられるのではないかと思いますが・・・。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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