つくづく思う「初防衛戦」の難しさ

W杯カナダ大会の激闘を終えた女子サッカー日本代表「なでしこジャパン」が、七夕の日の7月7日午後、成田空港着の航空機で帰国、その模様が各テレビ局の同日夕刻のニュース時間帯で一斉に報じられていました。

到着ロビーで待ち受けた約500人のファンの、ねぎらいの拍手、歓声に選手の多くが笑顔で応える中、主将を務めるMF宮間あや(30=岡山湯郷)の、ただ一人、硬い表情が印象的でした。

その後、千葉市内で行われた会見で、チームを率いた佐々木則夫監督(57)と宮間にこんな質問が投げかけられました。

〈優勝は逃しましたが、戦いを通じて得たものはありますか?〉

佐々木監督が、チームの結束力や技術面のレベルアップなど監督ならではの答えを返す中、宮間はキッパリと〈ありません〉と答えていました。

前回ドイツ大会での優勝を受けて今回も優勝、連覇が目標です。12年ロンドン五輪では敗れても(●1-2米国)宮間には、W杯は絶対に譲れない! の意地があったろうし、その強い気持ちは、決勝に進出したことだけでは収まらなかったのでしょう。

プロボクシングの世界で、王者になった後の「初防衛戦が難しい」とされるのは、心理面では、挑戦時の“無心”が獲得した王座を“守らなくてはならない”に変わり、そこに生まれるプレッシャー。一方、打倒を狙う世界各国の刺客たちが、一斉に王者を研究し尽くすからだと言われます。

従って、元世界王者の浜田剛史氏は「世界王座を勝ち取ったとき、その喜びは一瞬、なんですね。一夜明けてから、次のチャレンジャーが徹底研究してくるなら、こちらも“その上”を行く対応が必要になってくるのです」と言います。

相手の研究を超えることこそが・・・

勝負の世界、そういうものなのでしょうが、本当に厳しいものですね。

例えば、V8中のWBC世界バンタム級王者・山中慎介(32=帝拳)の決め手は、ご存知の通り“ゴッド・レフト”です。

この左など、山中に挑む挑戦者たちは、徹底研究して対策を練り、封じる作戦でリングに上がるのでしょうが、最後は左をもらって倒されています。

なぜ? とも思います。が、そうなることは、やはり、山中の対策が相手の研究を上回っているからでしょう。つまり、左を封じに来るのなら、右の多用で相手が研究してきたことを撹乱させ、それにより左を生かす、という戦い方です。

V13の日本人選手の最多防衛記録を持つ具志堅用高氏にしろ、V10のWBA世界スーパーフェザー級スーパー王者・内山高志(ワタナベ)にしろ、王座を長期間守るということは、安泰のない日々の精進、進化、相手が“これでどうだ!”と来ても“まだまだ”とその上を行くことなのでしょう。

4年前の11年ドイツW杯でPK戦で日本に敗れた米国(試合は2-2引き分け扱い)が、その悔しさをバネに雪辱に成功したのは、米国の日本研究が日本の米国研究を超えていたからでしょう。

立ち上がりの1、2点の失点は、いずれもCK、FKのセットプレーからのもの。それもゴロで来るなんて! 想定外の失点が続き、日本は、前半わずか16分で4失点・・・。

悔しさをこらえた宮間の言葉が、聞くものの心に響きます。

〈もっと上に行くためには、相手がやることを予想して、準備して、相手が予想、準備したものを超えなければならない〉

それが宿命なのかもしれません。

一度頂点を極めたものは、休まる暇もないのだ、ということなのでしょう。

その一方、女王の座から陥落したチームに再び、世界一を奪還させるための“環境づくり”という課題もまた、急務なのかもしれません。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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