指導者が見据えるものは?

ちょっと以前の話になりますが、今年の春先、テニスの指導者が集まった座談会があり、その場に立ち会う機会を得ました。

今の時代の指導の難しさについて、さまざまな意見が出る中、指導者A氏が言いました。

〈親が子供をスクールに預ける。その時点で親はもう「子供イコール錦織圭」でいる。早く“エア・ケイ”が打てるようにしてくれ、とかね〉

指導者A氏が続けます。

〈テニスは個人のスポーツであり、自立のスポーツだから、技術がどうのより、まず子供を自立させることが先決なのですがね〉

自立させる過程において、指導者にはさまざまな選択肢があるでしょうが、そうした中で厄介なのは、結果を急ぐ親の介入であり、また昨今の“体罰”問題-暴力をイメージする体罰の範囲が、いわゆる“スパルタ的”な厳しい指導法にまで及んでしまうと、育て方の範囲が狭まってしまう、と渋い顔でした。

指導者A氏は〈理不尽かもしれないが、学校の部活での上下関係とか、礼儀や挨拶をキチンとするとかは、日本の体育会的な良さを残していると思うんですね。が、最近は、すぐに批判を受けるので指導者が怖がってしまってやらなくなっています〉と話していました。

そうした中で指導者B氏が、シンクロナイズドスイミング日本代表のコーチに復帰した井村雅代氏(65)が出演したテレビ番組を観て〈(井村氏の)人を引き付ける力の凄さ〉に感心したことを話しました。

再び問われるスパルタ方式の是非

指導者B氏が言います。

〈技術だけでなく精神的なもののレベルが高いですね。体罰問題などが表面化して、指導者も難しい立場に追い込まれていると思いますが、指導者の指導力によって触発される可能性もあるのではないかと思いましたね〉

その井村氏をヘッドコーチとするシンクロナイズドスイミング日本代表が、先に終了した「世界水泳選手権」(ロシア・カザニ)で実に4個の銅メダルを獲得しました。

五輪など世界の舞台でメダルを獲り続けた日本代表が、2004年アテネ五輪後、井村氏が日本代表コーチを退任して中国代表チームを率いることになってから、日本代表の低迷が始まりました。

来年のリオ五輪をにらんで井村氏は、2014年2月、10年ぶりに日本代表コーチに復帰。技術がどうのより、まず、肉体改造から着手するという厳しいトレーニングを課したといいます。

つまり、美を重視される同競技において、日本人的な丸い体形ではなく、まず、シャープで美しく、見ばえが良くなければ世界の仲間入りはできない、という方針・・・。

そこに至る道が、スパルタ方式でなくてどこにスパルタ方式がある? というほどの厳しさだったことは、第三者にも容易に想像がつくことです。

世界の舞台で第3位の得点を出し、銅メダルを獲得するたびに、選手たちが美しい顔をゆがめて号泣する姿は、良識的な皆さんには叱られる見方かもしれませんが、体罰など当たり前の日々を乗り切ってここまで来た感動、という受け止め方をさせてもらいました。

体罰問題を機にこれからは、学校の部活での体育会的指導、つまり、やらせられている、という押し付けを嫌い、自由に自分の考えで進んでいく、というクラブ的な形が主流になっていくのではないかと思います。

が、しかし、結果がすべてを分けることはありませんが、少なくとも、井村氏が率いるシンクロナイズドスイミング日本代表は、井村イズムで復活、不振を脱却したことは確かです。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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