苦しかった「幽霊」退治

横浜から京浜急行電鉄で品川方面に向かい「京急蒲田」駅の次が「梅屋敷」駅です。

連休で街中がにぎわう9月22日(国民の休日)午後1時、この「梅屋敷」駅近くのファミレスに日ごろ親しいボクシング記者が集まりました。

ここから近い「大田区総合体育館」では、午後7時ゴングでプロボクシングのバンタム級頂上決戦、注目のWBC世界バンタム級王者・山中慎介(32=帝拳)vsWBA世界同級前王者(現・同級2位)アンセルモ・モレノ(30=パナマ)のWBC世界バンタム級タイトルマッチが行われます。

その前にランチをとりながら、ああだ、こうだ、と記者仲間のいつも通り、にぎやかなボクシング談議のひとときです。

やがて元世界王者の浜田剛史氏(帝拳プロモーション代表)も駆けつけて合流しました。後輩の世界王者・山中が、とてつもない難敵と対戦するとあって、その表情はいつになく厳しいものになっていましたが、予備知識として試合のポイントなどを聞かせてもらいました。

-モレノはどういう選手?

浜田氏「強いというより巧(うま)い選手ですね」

-とういう巧さなのですか?

浜田氏「そう。この巧さは、ちょっと説明が必要ですね。何というか、これまで対戦して負けた選手たちは、一様に“どうしたの。体調でも悪かったの”などといわれるような戦いになってしまうんですね。つまり、防御の巧さで相手を空回りさせ、良さを殺して無力にさせてしまうんですね」

ラスベガスへの道が開ける勝利

-やっかいですねェ。それが「ファンタスマ(幽霊)」と呼ばれる所以ですか。では、山中はどう戦えばいいのでしょう。

浜田氏「前半はパンチを外されることを想定内として、とにかく手を出し、数少なくても体に当てたパンチで感触をつかみ、そこから後半、攻略の糸口をつかむことですね」

-勝負のポイントは?

浜田氏「モレノに手を出させることですね。それには(モレノに)このままでは勝てない、と思わせる状況をつくり出すことです。そういう展開に持ち込めれば山中に勝機が出てきます」

なるほど・・・しかし、やっかいな相手。山中はこれまで結構な難敵をことごとく下してV8を成し遂げてきましたが、この相手はちょっと、これまでの相手とは違う感じのようです。

会場は4500人の観衆で埋まり、山中人気を裏付ける熱気にあふれていました。

しかし、やはりというか、右肩を前に出して半身に構え、相手のパンチを滑らせてしまうようなモレノの戦い方に山中はやりにくそうです。

4回終了時の公開採点では、2人のジャッジが39-37で山中の優勢、1人のジャッジがドローとしましたが、8回終了時では2人のジャッジがドロー、1人のジャッジが77-75でモレノの優勢と逆転されてしまいます。

これで山中は前に出ざるを得なくなり、9回、強引に出たところに右フックをり受け、グラつかされるピンチとなりました。

しかし、10回に再び攻めに出た山中の勇気、その気持ちに勝利の女神が微笑みました。左から右の返しがモレノにダメージを与え、その勢いで勝負が懸かった大事な終盤3Rを自分のラウンドとすることが出来たのです。

判定は、2人のジャッジが115-113で山中、1人のジャッジが115-113でモレノ、と2-1のきわどい勝利となりました。

しかし、山中が“神の左”不発となった内容に満足できなくても、勝ちは勝ちだし、WBA王座を12度も防衛してきたモレノとの、実質的な王座統一戦に勝利したことは、大きいことです。

これにより、ラスベガスでの防衛戦も視野に入る今後となったことでしょう。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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