“聖地”に乗り込むラスト・サムライ

勝負に関することわざは、古今、さまざまなものがあります。

例えば-。

〈肉を切らせて骨を断つ〉=「自分も傷つく覚悟をして、より大きなダメージを相手に与える」(旺文社刊「故事ことわざ辞典」)

というのがあれば、また-。

〈枝を伐(き)りて根を枯らす〉=「(敵を倒すのに)まず末端を攻撃して本拠が次第に衰えるのを待つ」(同)

というのもあります。

あの「ネイサン・オールグレン大尉」(トム・クルーズ=映画「ラスト・サムライ」)が、この男と出会ったら、どんな反応を示すだろうか? と思わせるファイターがかつて、格闘技好きをしびれさせていました。

そうです。今なお、記憶に残る治政館のキックボクサー・武田幸三です。

上記2つのことわざの、典型的な前記「肉を切らせて・・・」のタイプ。頑固なまでにKO勝負にこだわり、試合前には、命のやりとりを覚悟して、公正証書遺言まで作成してリングに上がったものでした。

試合は「相手に失礼のないように足をへし折って倒します」などと文字通りの真っ向勝負。倒すか倒されるか! の紙一重の勝負を“美学”とする、サムライでした。

この武田幸三となぜか、ダブってしまうのが、プロボクシングのWBC世界スーパーフェザー級王者・三浦“ボンバー・レフト”隆司(31=帝拳)です。

失礼のないように殴り倒します!

三浦はこのほど、5度目の防衛戦を11月21日、ラスベガス(マンダレイベイ・ホテル&カジノ=米ネバダ州)で行うことが決まり、初の“聖地”進出で彼の「ラスト・サムライ」的なキャラクターが、米国のファンをどう動かすか、注目されるところとなりました。挑戦者は、同級1位の無敗戦士フランシスコ・バルガス(30=メキシコ)です。

ジムの先輩であり元世界王者の浜田剛史氏は、三浦のボクシングをこう語っています。

〈(三浦の〉良いことろは、打ち合っても強い、打たれても強い、というところにありますね。つまり、打たれても、それ以上のパンチで打ち返せばいいじゃないか、というボクシングです〉

つまり、相手に打たせても、それ以上を返して“攻め勝つ”スタイル。打ったほうが勝ち、という分かりやすいスタイル。だから、そのイメージは「30年前の(殴り勝つ)スタイル」(浜田氏)ということにもなります。

2013年4月、ガマリエル・ディアス(メキシコ)を9回TKOに下して王座を奪取した三浦は、以降、打ち合いの姿勢を崩さずに4度の防衛を重ねてきました。

そんな中、ちょっぴり変化が見られたのが、前回(今年5月)のV4戦、ビリー・ディブ(オーストラリア)戦でした。

この試合、足が速く、手数で攻める、つかまえにくいディブを三浦は、早くも3回にとらえ、必殺の“ボンバー・レフト”を叩き込んでTKOに下しています。

浜田氏が言いました。

〈防衛を重ねるごとに感じることは、相手に打たせなくなった強さですね。もともと、相手の攻撃をきれいに外して、きれいに打つ、というタイプではありませんが、このところ、相手のパンチを殺して打つ、という強さに磨きがかかっているように思います〉

頼もしいですねェ~。

激突に期待が懸かるWBA世界スーパーフェザー級スーパー王者・内山高志(ワタナベ)より、ひと足先に米国に乗り込む三浦が、どんな試合を見せるか-。

ミゲール・コット(米国)vsサウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)のWBC世界ミドル級タイトルマッチがメーンという人気のリングで、伝家の宝刀“ボンバーレフト”を引っさげたラスト・サムライに期待です。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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