ラグビー日本代表が背負うもの

日本代表の“8強入り”に限りなく「赤」信号に近い「黄」信号が点滅し始めました。

ラグビーのW杯イングランド大会、1次リーグB組の動向です。

2勝を挙げる大健闘で日本代表の夢の“8強入り”も取り沙汰されましたが、B組1位の南アが10月7日(日本時間同8日)の米国戦に完勝(1位で8強進出)し、これにより、スコットランドが10月10日(同11日)のサモア戦に勝てば、日本代表は10月11日(同12日)の米国戦を待たずに1次リーグでの敗退が決まることになりました。

厳しい状況下にあって一縷(る)の望みは、スコットランドがサモア戦で勝ち点2以下なら、日本代表の米国戦での勝ち方によっては道が開ける可能性も出てくるだろう、ということです。

まあ、しかし、こうした一喜一憂より、私は今大会の日本代表の大健闘で、あのクリント・イーストウッド監督の米映画「インビクタス(Invictus)/負けざる者たち」(2009年製作・公開)を思い出し、見直されることになった日本のラグビーが、今後、どんな影響を与えることになるのだろうか、ということを考えてしまいました。

「インビクタス」の舞台は、1994年の南アフリカ共和国です。反アパルトヘイト(人種隔離政策)の反体制活動家として長年、投獄されていたネルソン・マンデラ氏(2013年12月に逝去)がその年、解放され、黒人で初の大統領に就任します。

翌1995年、自国開催となったラグビーの第3回W杯の場を利用して、アパルトヘイト撤廃後も後遺症を残して依然、白人と黒人の間にくすぶるギクシャクした国情を、ラグビーの南ア代表「スプリングボクス」の快進撃により、国を無差別の熱狂に巻き込んでいく、という感動的なストーリーです。

映画の中の1シーン-。

差別の象徴として「ラグビー」と「サッカー」の在り方が描かれ、英国発祥のエリート層のスポーツであるラグビーが、白人の富裕層を中心に広まっているのに対し、サッカーは黒人の貧困層に広まっていることが描写されます。アパルトヘイト撤廃後にも、依然として残る白人と黒人のしこりは、ラグビーとサッカーのグラウンドを分ける「柵」の存在に象徴されていました。

4年後に“熱狂”を巻き起こせるか!

ラグビーのW杯は、1987年に第1回大会が行われ(その後は4年に1度の開催)1995年の第3回南ア大会では、南ア代表「スプリングボクス」が初優勝を飾っています。

再び映画の中-。

モーガン・フリーマン演じるマンデラ大統領は、密かに「スプリングボクス」主将のフランソワ・ピナール(マット・デイモン)を招き、W杯での優勝を義務付け、さらに国家を斉唱することの重要性、団結による国威の発揚を説き、勇気づけます。

「スプリングボクス」の快進撃が続きました。それを架け橋に次第に白人と黒人との間に応援を通した熱い共通項が生まれていきます。そして・・・ニュージーランド代表「オールブラックス」との決勝戦前、両国国歌の斉唱のシーンで南アの白人と黒人は、やっと国歌の元に気持ちを一体化させることが出来たのでした。

日本のラグビーはかつて、大学選手権が新春恒例の行事として熱狂的な人気を得た時代があり、昨今の扱いからは信じられないことですが、スポーツ新聞各紙も1面から3面まで3ページを割く、大々的な紙面づくりをしていたことがありました。

この大学ナンバー・ワンを争う試合は、それはそれで面白いのですが、しかし、その後に控える日本選手権で、大学チームは社会人チームに歯が立たず、また、日本一となる社会人チームにしても、世界との差は大きく、日本のラグビーは所詮、国内だけのミーハー人気、世界との大差を感じながら紙面をつくる私たちも、もう一つしっくりしないものがあったことを覚えています。

そうした経緯を振り返ったとき、今W杯の日本代表に「負けざる者たち」の成長を感じ、何よりも“にわか”でも何でも、ラグビーというゲームへの興味、五郎丸という不思議な苗字を持つヒーローへの興味もあったでしょうが、多くの人々が振り向き始めたことは大きいと思います。

何しろ日本のラグビー界は、次回2019年W杯を日本で開催するのですから、これからの4年間、国民の支援なくして成功はないのです。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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