高まる「PFP」ランクの価値

〈PFP(パウンド・フォー・パウンド)〉=ボクシングを含めた格闘技界で、全階級を超えてウエート(体格)を同一とした場合、誰が最強か、を示すもの。ボクシング界では、米リング誌が発表した9月のランキングで山中慎介(帝拳)がトップ10入りした。

柔道やレスリング、あるいはボクシング、総合格闘技などで採用されているウエート制は、これら格闘技ジャンルを「競技」として成立させるための手段でしょう。

が、そうした競技性を抜きにして考えた場合、格闘技の原点(あるいは魅力)は“無差別の戦い”にあるのではないかと思います。

例えば〈柔よく剛を制す〉などという言葉があります。辞書には「温柔なものが、かえって剛強なものに勝つことができる」(広辞苑)とあります。

解釈の範囲を広げれば、体の小さいものが、大きいものに勝つ、ことにもたとえられます。

つまり、競技性のために設けられた階級制を超えた無差別の戦いは、いかにも武道的であり、富田常雄著の柔道小説「柔」の中でも、体が小さく、非力な主人公の矢野浩(後に正五郎)が、大男を理と力の法則で投げ飛ばす術の妙が描かれていて読む側の心を躍らせます。

プロボクシング界には、世界王座を管轄する公認4団体があり、各団体とも‍ミニマム級からヘビー級まで全17階級に世界チャンピオンがいて、さらに団体によっては、正規王者のほかにスーパー王者、暫定王者などを設けるなど、王者の乱立が指摘され、となれば、本当は〈誰が一番強いのか?〉への興味が強まるのは当然の流れでしょうか。

軽量級の“ロマゴン”が異例の1位に!

そこに昨今、ボクシング・ファンの間では、休養王者までいる各団体の世界ランキングより、当たり前のように「PFPランキング」のほうが注目されるようになってきています。

資料によれば、PFPという誇らしい称号は、アリの時代が終わってひとときヘビー級が衰退し、次にマイク・タイソンが出現するまでの1980年代、ヘビー級にとってかわった中量級の台頭、しのぎを削る群雄割拠の時代に使われていたそうです。

今、それが新たに脚光を浴びたのは、やはり、実際に階級を超えた戦いを挑んだマニー・パッキャオ(フィリピン)の存在が大きいでしょうね。

そして・・・そのパッキャオとの世紀の対決で勝利したフロイド・メイウェザー(米国)が、ヘビー級のウラジミール・クリチコ(ウクライナ)やミドル級のゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)らを抜いてPFPランク1位の常連となるのは、まあ、あの試合ぶりは、誰とやっても無難だろうなァ、と変な納得の仕方をしていましたが、メイウェザーの引退後、代わってその位置を占めたのが、何とWBC世界フライ級王者ローマン・ゴンザレス(ニカラグア=帝拳)だったのです。

“ロマゴン”ことゴンザレスは、10月17日(日本時間同18日)に米ニューヨーク州のマジソン・スクエア・ガーデンで行われたV3戦で元2階級制覇王者ブライアン・ビロリア(米)を9回TKOに下し、相変わらずの強さを見せつけました。

この“ロマゴン”という「点」と、もう一つの「点」がいつ「線」で結ばれるか、というのが、目下の注目といえるでしょうか。

そうです。もう一つの「点」は、言うまでもなくWBO世界スーパーフライ級王者の井上尚弥(22=大橋)ですね。

井上はこのほど、年末の12月29日、東京・有明コロシアムで同級1位の指名挑戦者ワルリト・パレナス(32=フィリピン)と初防衛戦を行うことが決まりました。

陣営の構想としては、V1成功を条件に米国進出を狙い、近い将来に“ロマゴン戦を実現させたい意向のようです。

軽量級選手としては異例と言えるPFPランク1位に飛び出した“ロマゴン”との対戦は・・・井上にしてみれば、何とも凄い未来が待ち受けているようですね。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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