季節外れの瑞泉寺を歩いて・・・

まあ、もともと素直ではなく、ああ言えばこう言う、といった天の邪鬼的な性格です。

鎌倉好きの例の友人Fと〈季節外れの瑞泉寺〉を選択したのも、この時期ならすいていて、ノンビリ散策できるだろう、との意見がなぜか一致したからでした。

11月中旬の某日午後、いつも通り、鎌倉駅東口(鶴岡八幡宮側)改札口で待ち合わせ、駅前のバスターミナルから京急バスで「大塔宮」に向かいました。

目指す「瑞泉寺」(神奈川県鎌倉市二階堂)は、ここから標識に沿ってブラブラ歩いて約20分くらいです。

資料(朝日新聞社編「鎌倉史都散歩」)には、臨済宗円覚寺派の寺院で山号「錦屏山(きんぺいざん)」の瑞泉寺は、鎌倉時代末期の嘉暦2年(1327年)、ときの高僧・夢窓国師によって建立された、と記述されています。

鎌倉五山に次ぐ「関東十刹(じゅっさつ)」の筆頭格に位置する格式ある寺院ですが、一般的にその名を“全国区”に高めているのは、四季折々の花々に彩られたお寺、やぐらを背にした純和風庭園の美しさ、が広まっているせいでしょうか。

花なしでもさすがの庭園だった

四季を通じて様々な花を楽しめる寺・・・ではあっても、年間で唯一のスキ間が11月です。

鎌倉の紅葉は、もうちょい後の12月以降からでしょうし、やはり12月以降からの水仙、椿の季節にも早く、実際、瑞泉寺の花の季節のスタートは、1月下旬ころからであり、桜、藤と続いて6月の紫陽花の季節には、見物人が長蛇の列をなしてにぎわいます。

案の定、寺へのアプローチでは、数組の散策グループとすれ違う程度、曇り空から時折り、ポツリホツリもあって、この寺の“シーズン・オフ”を感じさせました。

が、それはそれ、寂しい風景というのも、心にしみるものあるものです。山門へと至る苔むした階段に風情を感じ、境内に入った後も、花こそどこにも咲いていませんでしたが、やがて華やかになることだろう、来たるべきシーズンに備えた、この季節の寂れた静けさが、妙に心を打ちました。

景勝の地を厳選したという夢窓国師のこだわりを“さすがだなァ”と感じさせたのが、本堂の裏に開ける庭園でした。

紅葉ヶ谷と呼ばれる谷戸が三方を囲み、その岩盤には広大なやぐらが掘られ、さらにはその前に池が造られています。

季節が到来すれば、花の美しさが満ち、庭園の落ち着いたたたずまいにも心を打たれる瑞泉寺には、だから多くの文人たちが訪れています。

入り口に建つ「ゆかりの文人碑」には、立原正秋、久米正雄、大佛次郎、永井龍男ら小説家や山崎方代、高浜虚子ら歌人たちの名が掘られ、境内には、久米正雄の墓、大宅壮一、吉田松陰らの碑がありました。

すいている境内をゆっくりとノンビリと回り、ああ、ここを花々が埋めたら凄い景色になるのだろうなァ、と余韻を残しながら帰路につきます。

例によって打ち上げは、飲み処(どころ)に立ち寄って、心地よく酔いながらの放談となりましたが、解散した後、友人Fから「来年の梅の季節にぜひ、瑞泉寺に行きたいね」とメールが入ったのは、彼もやはり、本音を言うなら、花々が満ちた瑞泉寺が見たかったのかもしれません。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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