世界に誇示したボンバーレフトの流儀

ウ~ン、なるほどねェ、と妙に感心してしまいました。

ン? 何に感心してしまったのかって?。

つまり、結局、とどのつまり・・・プロボクシングという競技はですねェ・・・激しく殴り合って倒し倒され、その中で貫き通される、戦う2人の〈折れない心〉あるいは〈前を向く心〉が、観(み)る側をどう感動させるか、という、極めて“情緒的”なスポーツなんだなァ、ということに、です。

昨年11月21日(日本時間同22日)、ラスベガス(米ネバダ州)のマンダレイベイ・ホテル&カジノで開催された王者・三浦隆司(帝拳)vs挑戦者(同級1位)フランシスコ・バルガス(メキシコ)のWBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチが、全米中のファンの心を奪い、各メデイアがこぞって、2015年の「年間最高試合」に選出したのです。

米国の全国紙USAトゥデーが、米スポーツ総合誌スポーツイラストレイテッドが、米スポーツ専門局ESPNが、さらには米ボクシング専門誌リングマガジンが、足並みをそろえた、ということは、まったく凄いことです。

この興行のメーンは、ミゲール・コット(プエルトリコ)vsサウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)のWBC世界ミドル級タイトルマッチで、内容次第とはいえ、年間最高試合の候補に挙げられていたビッグマッチでしたが、結果は、アウトボクシングに終始したスマートなボクシングを、セミファイナルの三浦のド根性ボクシングが、すっかり食ってしまった印象でした。

文句なしの「年間最高試合」に選ばれた

三浦vsバルガスの試合は、初回、いきなりバルガスの右フックが命中、三浦がガクッと腰を落とす大ピンチで始まりました。

この回を何とかしのいだ三浦でしたが、ダメージは残り、危ない状態が続きます。

が、三浦の凄いところは、この局面にあってズルズル押し込まれず、劣勢を立て直し4回、必殺のボンバーレフトを炸裂させ、反撃のダウンを奪ったことでした。

これを機に三浦が攻勢に転じます。三浦のパンチで右目下を痛々しく腫らしたバルガスは、8回を終えてレフェリーから「この回が最後」の宣告を受けており、従って9回は捨て身の攻撃で前に出てきます。

三浦もこの回は倒しにかかってきており、勝負が懸かった一撃は、皮肉にもバルガスが先手を取ることになり、左からの右ストレートで三浦がダウンを奪われてしまいます。

倒れた三浦は、転がるようにしながら立ち上がり、両手を挙げて“やれる!”とアピールします。折れない心を象徴する感動的なシーンでした。

倒された場合、普通は8カウントまでは体を休ませますが、三浦の闘魂はそれを許さなかったのでしょう。続行、連打、クリンチ・・・死闘の末にレフェリーが、限界に達した三浦の体を抱え込みました。

各メディアが、この試合を年間最高試合に選出した理由を、ESPN局の担当ライターは「強打、ノックダウン、出血、ハート、アクション、ビッグドラマ・・・彼ら2人は、ボクシング・ファンがプロのファイトで見たいものをすべて供給、ファンの心を奪った」としています。

いやはや・・・凄いことです。

昨今のボクシングの傾向としては、フロイド・メイウェザー(米国=引退)に代表される、打たれずに打つ、スマートな戦い方が主流となっていますが、やはり、この競技の原点は、肉を斬らせて骨を断つ、三浦や八重樫らの流儀にあるのでしょうか。

残念ながら負けて王座を失った三浦ですが、本場ラスベガスで、人気の新王者となってしまったようです。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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