手ごわかった“欲望”という名の魔物

凄い戦いとなりました。

USPGAツアーの今季メジャー初戦「マスターズ」(米ジョージア州オーガスタ=オーガスタ・ナショナルGC)最終日(4月10日)の、松山英樹(24=LEXUS)を含む優勝争いの激闘です。

松山は残念でしたね。

第1日、1アンダー71で首位に5打差の13位スタート。第2日は72、通算1アンダーで首位に3打差の5位。そして第3日も粘って72、通算1アンダーで首位に2打差の3位。迎えた最終日は、日本人選手がマスターズの大舞台で優勝争いのど真ん中に立つ展開となりました。

連日、深夜の生中継でテレビの画面に見入るファンの期待を裏切らない、松山の大健闘でしたが、最終日はやはり、これまでの日々と違います。

第3日まで吹きまくって選手たちを悩ませた強風が、最終日はピタリと止んだかわりに、今度は選手たちの心の中に強風が吹きまくります。

松山は1番(パー4)のボキーを2番(パー5)のバーディーで取り戻し、さあ、これから! の4番から3ホール、手痛いボギー、ボギー、ダブルボギーを叩いてしまいます。

4番(パー3)は、第1打バンカーからピン上3メートルにつけましたが入らずボギー。5番(パー4)は、第2打が乗らず、アプローチも寄らずにボギー。6番(パー3)は、第1打が乗らず、第2打でオンさせたものの転がり落ち、第3打が寄らずにダブルボギーです。

優勝戦線から脱落する通算3オーバー。松山も悔しかったでしょうが、観る側も4日間を通じて初めて、アア~と吐き出す溜息でした。

残念! 前半戦で遠のいた優勝

マスターズの長い歴史の中で舞台となるオーガスタ・ナショナルGCには〈魔物が棲む〉と選手たちを恐れさせてきました。

コースに棲息するといわれる魔物は、実は選手たちの心の中に棲息する魔物であり、それは言い換えれば〈欲望〉にほかなりません。

優勝を視野に入れた選手たちの欲にたちまち、コースはキバをむきます。松山の痛恨の3ホールは、あるいは“それ”だったかもしれないし、連覇を狙って突っ走ったJ・スピース(米国)を襲った第3日の17番(パー4)ボギー、18番(パー4)ダブルボギーも“
それ”だったかもしれません。

この魔物は、本当に手におえないな、と思わせたのは最終日、アーメン・コーナーの2ホール目、12番(パー3)でスピースを優勝争いから引きずり落とした「7」でした。

第1打が池。ドロップして第3打がまた池。第5打が手前バンカー。6オン1パットの「7」です。普通、ここまでの大崩れは、マスターズ・チャンピオンが持つ技術にあっては、あり得ないことでしょう。なぜ? を追求すれば、心の問題、欲望が魔物の怒りに火をつけた、としか考えられません。

実際、優勝をあきらめ、目標を〈自分の納得のいく戦い〉に切り替えてから、松山は息を吹き返します。

ショットの切れ味が良くなり、8番(パー5)のバーディーを皮切りに10番(パー4)バーディー、13番(パー5)はイーグル逃しのバーディー。12番から15番までは、ほとんどが約2メートルほどのパットとなり、これを沈めていたら再び、優勝戦線に復活するところとなりました。

戦い済んで日が暮れて-。

松山はこの日、1オーバーの73、通算イーブンパーで昨年の5位に続き、2年連続トップ10入りの7位となりました。

松山自身は「(優勝は)近いようで遠い感じ」と複雑な顔を魅せましたが、大会を中継するTBSテレビの解説を務めた中嶋常幸プロが言いました。

〈最後まで優勝争いをする中、最終日前半の崩れは何が原因だったのか、などを宿題とする、いい勉強ができた大会だったと思う。もう、日本人最高が何位、などに一喜一憂するのではなく、マスターズで優勝できる日本人選手がここにいることがうれしい〉

次、来年か再来年か、松山が栄光の“グリーン・ジャケット”に袖を通す日が待ち遠しくなりました。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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