つくづく思う“絶対”はない!

いったい何が起こったのか!

視線の先で繰り広げられる信じ難い光景に観客は声を失い、館内は凍りついてしまいました。

4月27日夜、東京・大田区総合体育館で開催されたプロボクシングのトリプル世界戦。WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者・内山高志(36=ワタナベ)の12度目の防衛戦です。

先陣を切ったWBA世界ライトフライ級王者・田口良一(29=ワタナベ)が11回終了TKO勝ち、続くWBA世界スーパーフライ級王者・河野公平(35=ワタナベ)も判定勝ち、ともにV3に成功しました。

会場を埋めたファンは、ご機嫌で内山の登場を待ち、誰もが、同級暫定王者(同級1位)ジェスレル・コラレス(24=パナマ)との王座統一戦を、内山が豪快なKOで勝利するシーンを描いていたことと思います。

が、そんな期待は、たちまち“ヤバいんじゃないか”という不安に変わります。初回、いつもの通り、様子見でスタートした内山をコラレスの大きく振り回すパンチがいきなり襲い、そのうちの右フックなど2発が有効打にもなりました。

例によって元世界王者の浜田剛史氏に滑り出しを分析してもらいました。

-2人の攻防は?

浜田氏「内山は相手のパンチにスピードを感じたと思います。それに対応するため、左対策を立て直そうとしたところ、コラレスはスイッチしてきました。また、組み立て直そうとしましたが、その前にパンチをもらってしまいましたね」

嫌な雰囲気で迎えた2回、内山はやり返そうと距離を詰めました。相手のパンチに右を合わせようと前に出た瞬間、アゴにカウンターの左フックを浴び、ダウンを喫してしまいます。

さまざまな要素が重なったV12戦

浜田氏「出合い頭でしたからね。このダメージは大きかった。私が感じたことは、内山は急がず、もう少し、相手のパンチを見極めてから、パンチのスピードを読んでから、でもよかったのでは・・・ということでしたね」

ダウンから立ち上がった後の対応、距離を取り、攻め込まれたらクリンチ、などは賢明だったが、何しろダメージが大きく、2度目のダウンを奪われ、そして最後の3度目は、左ストレートを浴びて万事休しました。

2回2分59秒のKO負け。終了のゴングまであと1秒、何とかならなかったものか、とさまざまな悔しさが、観る側にも伝わる、KOダイナマイトのプロ26戦目の初黒星でした。

今回の12度目の防衛戦は、いろいろなことが重なりました。

まず、内山が念願する米国での開催を前提として、前WBA世界フェザー級スーパー王者ニコラス・ウォータース(ジャマイカ)との交渉、またWBA世界スーパーフェザー級正規王者ハビエル・フォルトゥナ(ドミニカ共和国)との交渉、それがことごとく難航して結局、コラレスとの日本での試合となりました。

さらに内山には、2016年3試合を行い、一気に元WBA世界ライトフライ級王者・具志堅用高氏が持つ国内最多となる13度の防衛を抜き去る、記録達成の大仕事もありました。

浜田氏「モチベーションの問題とか、防衛記録への重圧とか、いろいろなものが重なっていましたね。それらが微妙に影響していたかもしれません」

それにしても・・・ボクシングは厳しいものです。元統一世界ヘビー級王者マイク・タイソン(米国)が全盛時の1990年2月、2度目の来日時に東京ドームでジェームス“バスター”ダグラス(米国)と対戦し、まさかの10回KO負けを喫しました。

その試合、リングサイドの記者席で取材していた私は、タイソンが負けた! ボクシングに“絶対”はあり得ない! と痛感したものでした。

それは分かっていても、内山の衝撃的な敗戦を目の当たりにしてしまうと・・・。

2010年1月11日の王座奪取から6年3カ月。日々の節制など自らを厳しくコントロールしてここまで来た36歳。

敗戦は残念だし、また、去就を含めた今後の成り行きが注目されるところになりました。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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