笑顔なき圧勝!

「モンスター(怪物)」の異名を持つ23歳。

相手のガードの上にパンチを炸裂(さくれつ)させて倒してしまう、スゲー世界チャンピオン。

こういう逸材に対してファンは、一つのイメージを定着させます。

今日も早い回にスカッとしたKO勝ちを見せてくれるだろうなァ

-というイメージです。

プロボクシングのWBO世界スーパーフライ級王者・井上尚弥(大橋)-。

世界戦4試合、4連続KO勝利。しかも、ここ2試合、2回決着であれば、そうしたイメージで見てしまうのも仕方のないことかもしれません。

大型連休の最終日となった5月8日夜、同級1位のダビド・カルモナ(メキシコ)相手に井上が2度目の防衛戦を行う東京・有明コロシアムには、それを願うファンが集まって、いい雰囲気を漂わせました。

大歓声の中に緊張感が張り詰めてゴング!

スピード感あふれる左リードを軸に好調な滑り出しを見せたかに思われた井上が2回以降、早くも“異変”に見舞われます。

相手の頭部に当たった右拳が次第に使えなくなり、左一本の戦いを余儀なくされてしまったのです。

2回が過ぎ、3回も過ぎ、無理ができない戦いは、ファンの望む〈早い回のスカッとしたKO劇〉からは遠い展開となってしまいます。

5回に攻め込んでも、6回に反撃され、チャンスが続きません。

判定勝ちでは・・・怪物クンの苦悩

4回までの展開を見て「今日はKOはないだろう」と思ったという元世界王者の浜田剛史氏が言いました。

挑戦者のカルモナは、井上の戦い方を研究し尽くして臨んできましたね。右を打てば右を返す。左にも同時に右を合わす。井上のいいところを消しにかかる戦い方。井上にとっては、やりにくかったと思います

試合はフルラウンドの戦いとなり、最終12回、ボディーの打ち合いから、井上が連打の猛攻でダウンを奪いました。

試合終了-。判定は、2人のジャッジが118-109、1人が116-111で井上の3-0完勝、数字的には大差をつけた危なげのないV2成功となりました。

試合後に井上は、早い回の右拳負傷に加え、途中から左拳も満足でなくなり、苦戦となったことを明かしました。

それを考えれば、最終回の猛攻は、頭が下がる思いですが・・・不思議なものです。冒頭に記した〈井上=KO〉のイメージが定着しているため、判定勝ちでは納得できない雰囲気が会場に漂います。

何となく“負け戦”的な暗いムードも・・・。

再び、浜田氏の井上評-。

〈“いい勉強になった”勝利でしょうね。これからは、もっと(井上を)研究したチャレンジャーが向かってきますよ。そうしたときの対応が王者には必要になりますね

この“勉強”に関しては、大橋ジム・大橋秀行会長も「今日ほどいい勉強になった試合はない」と語っていました。

これがダメならアレ。膠着状態からの打開策。予期しない出来ごとに見舞われたときの対応。強い王者は、決まって、多くの引き出しを持っているものです。戦う幅の広さでしょうね。

これで10戦目。まだキャリアが浅い井上ですが、これから多くの経験を積むことで、手のつけられない“モンスター”に成長してもらいたいものですね。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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