夢舞台になり得なかった五輪ゴルフ競技

“その気”であったなら当然、即決だったことでしょう。

だから・・・言葉を濁し、態度を保留し続けていた段階で“前向きではないな”という胸中は読み取れました。

プロゴルファー・松山英樹(24=LEXUS)のリオ五輪出場辞退に関してです。

7月4日、松山の意思を受けた所属するマネジメント会社は、辞退を“苦渋の末の決断”とし、理由を①ジカ熱(蚊が媒介するウイルス感染症)や体質的に弱い虫刺されへの不安など環境問題②治安に関する不安を十分に払拭できなかった-としました。

確かに治安に関して、リオの強盗発生率は日本の約660倍で邦人が被害に遭うケースが多発! などと報じられたり、また6月末には、一部の警察官が給与を受け取っていないことで、警察官の労働組合が、リオの玄関口となる国際空港の出国ゲート前で「地獄へようこそ」と書かれた横断幕を掲げてストライキを決行、安全の確保は保証できない! と治安の不安をふくれあがらせる騒動が起きたりしています。

ジカ熱の不安を理由とする出場辞退は、既に世界ランク1位のジェーソン・デー(オーストラリア)や同4位のロリー・マキロイ(英国)、同8位のアダム・スコット(オーストラリア)ら世界のトップが続々と名を連ねています。

世界一を懸けて戦う彼らにとっては、やはり、環境の安全はなくてはならないものでしょうし、松山も「不安を抱えながらでは、世界と戦う上でベストなコンディションで臨めない」と語っています。

2020年東京五輪に残す宿題

それはそれでその通りだと思います。

が、もっとも肝心なことは、リスクを背負ってまで戦う〈五輪のゴルフ競技への意義は?〉というところにあるのではないでしょうか。

1904年のセントルイス五輪以来、112年ぶりに復活した五輪のゴルフ競技は、男子は8月11日から4日間、女子は8月17日から4日間、リオデジャネイロ近郊のリンクスコース「レセルバ・マラベンディGC」で開催されます。

男女とも、72ホールのストロークプレーによる個人戦、で争われますが、例えば女子の代表圏内にいる宮里美香(NTTぷらら)が「団体戦のほうが・・・燃え方が違うかも」と言い、松山も「個人戦でなくチーム戦だったら、あるいは違う決断になっていたかもしれない」と口にしています。

世界最高峰のUSPGAツアーで転戦する松山を含むトップたちの最大目標は、シーズン4回のメジャー競技での優勝であり、五輪で行うストロークプレーでの個人戦が、それを超えるところに位置しているか? という疑問が〈無理にリスクを冒してまで出場する意義があるのか〉というところに行きついてしまうのでしょう。

確かに彼らは、6月のメジャー第2戦「全米オープン」(米ペンシルベニア州=オークモントCC)を経て7月には、中旬にメジャー第3戦の「全英オープン」(英スコットランド=ロイヤルトルーンGC)を、下旬にはメジャー最終戦の「全米プロ」(米ニュージャージー州=バルタスロールGC)を控え、それを終えて五輪に突入、その後もシーズン終盤の大事な戦いに臨む、という過密日程の中にいます。

それは・・・別の見方をすれば、五輪のゴルフ競技は、他のアマチュア競技のように4年に1度の夢舞台にはなり得ず、松山の苦渋の末の出場辞退は、それを暗示したものと言えるでしょう。

リオ五輪のゴルフ競技は、どんな盛り上がりを見せるのか、あるいは平凡なものに終わるのか、試合の形式を含めて、それはそのまま、2020年東京五輪への宿題となりそうです。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

最新記事
カテゴリ
最新トラックバック
月別アーカイブ
最新コメント
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

アクセスランキング
ランクアップにご協力下さい
↓↓↓↓クリック↓↓↓↓
QRコード
QR