「台詞」という名の怪物との格闘!

何ごとも“現場第一”で、それに勝るものはないだろう、との考えでこれまでやってきました。

今なお、その優先順位は変わらない気概でいますが、このほど、とんでもない? 現場に踏み込んでしまいました。

何と映画製作の撮影に加わったのです。

真夏の日差しが照りつけた7月10日の日曜日、午前10時-。

横浜市(神奈川県)南区の民家に面々が集まりました。映画のタイトル、内容などは、目下製作中ということで紹介を控えますが、この日のシーンは、主人公が重大決意をしそうだという情報をキャッチした広告代理店、新聞社、出版社など各メディア関係者が大挙して主人公が住むこの家に押しかけて真意をただす、という場面の撮影でした。

私は、この映画を撮影している知人のカメラマンに「サトーさん、ちょっと協力してよ」と声をかけられ、映画の撮影現場など初体験だったこともあり、その他大勢のエキストラならね~と面白半分に出掛けたのですが、行ってみたら、3人の新聞記者役の1人を受け持たされ、しかも、台詞(せりふ)も一つあり! という思いもかけない展開となってしまったのです。

本職なんだから、地のままでやってよ、といった感じでしたが、いやいや、そういうものではありませんね~。

さて・・・監督のGO令により、始まりました。

何が始まったかというと、まず台本に書かれた台詞の読み合わせ、です。

それぞれが、台本を見ながら、あてがわれた役(人物)の台詞を読み上げていきます。私も順番が来て無難に読み上げ、フ~ン、意外にイケるもんだなァ、などと余裕をかましていました。

が、台詞という名の怪物に襲われるのは、この後からでした。

台詞に“生”を吹き込むために・・・

最初の台本を見ながらの読み合わせは、感情などが入らない、ただの素読みです。これは簡単ですね。・・・で、その次の段階は、台詞を把握し、台本に書かれた台詞に“生”を入れていく作業です。

この作業は、少なくとも自分の前後の人の台詞、もっというなら全体をつかんでいなければ“生”を入れられません。

例えば〈報道の自由でしょう〉という台詞があり、それを言うとき、その前の人が言う台詞は、報道の自由を否定しているわけですから〈報道の自由でしょう〉という台詞には当然、怒りが込められていなくてはなりません。

台本を見ながらの素読みでは、それはありません。しかし、ここではそれでは済まなくなり、そこに相手への怒り、激高、非難・・・といった“演技”が必要になってくるわけですね。

当たり前のことといってしまえば、そうなのでしょうし、私たちは日ごろ、映画やテレビで俳優たちのこうした台詞を当然のように聞いていたりしていますが、たった一行の台詞にしても、全体を把握していなければ生きてこないだろうし、喜怒哀楽のどれを含ませればいいのか、などを熟知していなければ口にできないものなのだなァ、ということを痛感させられました。

その意味で役者は〈台詞に絶妙の“生”を吹き込める技術者〉なのかもしれませんね。

そうしたことが次第に分かってくると緊張感が高まってきます。

さあ、本番行きます! ライトがカッと照りつけ、カメラマンの回りました! の声・・・。

私は、そんな光景を見ながら、こりゃ、スゲーな。こんな緊張感の中でよくしゃべれるもんだ、などと熱い輪の外、部外者意識で感心しています。そんな中でアッという間に私の番。無難にこなしたつもりが、監督は「ねえ、その台詞、普通に言うとき、前の台詞が終わってからじゃないだろ。終わるか終わらないかのタイミングで出てくると思うよ」と厳しい指摘です。

なるほど。まったくその通りです。台本に書かれた台詞に“生”を吹き込むということは、そのための演技が必要となりながら一方、日ごろ、普通にしゃべっている日常的なものでなければならない、という大きな矛盾が発生するわけです。

午前10時から始まり、途中、おにぎり1個の昼食時間を挟んで午後4時終了。緊張と部屋の中の暑さで私の役者のマネごとはクタクタのうちに終了した次第でした。

ああ・・・しかし、この刺激と緊張感。なにやらクセになってしまいそうな初体験でした。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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