「ハイ、よろしかったようですネ」のイライラ

7月某日-。

映画好きの友人と、映画でも観(み)に行こうか、ということになりました。

映画館に到着してチケット購入のため、発券のカウンターに向かった友人が、なかなか戻ってきません。

アレレ? 何かあったのかな? やっと戻って来た友人が、いやネ・・・といって話し始めました。

〈いやネ・・・釣りがある金額出したところ、彼女(発券係)が「○○円頂きました」というんだよな。だから、ちょっと注意してきた〉

友人は“頂きました”は、釣りがないときだろ。釣りがあるときは、当然“お預かりしました”で釣りが手渡される。注意する人がいなければ、彼女はずっと間違いを続けるだろうから、ちょっと言ってきたよ、と顔をしかめました。

読書家の友人は結構、このテのことを見逃せないようで、私も以前、行く前にでは“腹ごなし”して・・・と言ったところ、そりゃ“腹ごしらえ”だろ、と厳重注意を受けたことがありました。

私の場合は、完全に勘違いの間違えで以後、友人の指摘をありがたく受け止め、間違えのないようにしていますが、上記の例で、これに彼女が「○○円“から”頂きました」なんて言ったときには、オイオイ、その“から”って何だよ! 日本語、おかしいんじゃないの? と延々、説教になっていたかもしれないな、と苦笑いでした。

今、このテのヘンな日本語は、コンビニ、ファストフード店、ファミレスなどを中心に蔓延し始めています。

映画を観終わって“腹ごしらえ”~“腹ごなし”ではないですぞ!~に入ったファミレスでも、友人のイライラは続きます。料理を注文すると、若い店員さんは必ずといっていいほど「○○でよろしかったでしょうか?」と確認してきます。

思わずこちらも「ハイ、よろしかったようですネ」と返してしまいそうな違和感を感じますが、注文の際に間違えが生じないように確認するなら「ハイ、○○ですね」で十分でしょうし、そのほうが確認されるほうもスッキリします。

なぜなら、よろしかったでしょうか? の言葉には、どうでしょうか、受け取り方によっては、何かこちらに“それだけですか?”“注文し忘れたものがあるのではないですか?”の類を確認しているようなニュアンスも含まれてしまうのです。

店側にしてみれば、確認は大切なこと、それの丁寧表現、と反論したとしても、受け取る側が不愉快に感じれば、客に対して失礼なことになってしまいます。

限りなく不思議な接客敬語

さて、注文して料理が出されて、店員さんが伝票を持ってくると間髪を入れず、こう聞かれます。

〈お料理のほう、揃いましたでしょうか〉

ン? この“ほう”の意味合いは、よく分かりませんね。普通に解釈すると、料理だとか、飲み物だとか、あるいはデザートだとか、注文したものが複数あり、そのうち、料理だけが出された場合、この“ほう”の意味が“料理の部分”ということで理解されないこともありませんが、使っているほうは、どうもそういう意味ではないように思われます。

なぜなら、コンビニのレジでは、しばしば「レシートのほう、いりますか?」と聞かれるからです。

とすれば、この“ほう”はまったく、必要のない言葉。なくても「お料理は揃いましたか?」「レシートはいりますか?」でスッキリと感じも良くなります。

スーパーで買い物をしてレジでの精算時。お札を出したところ「○○円(出したお札の金額)でよろしいですか?」と聞かれることは常にあります。

スーパーでの買い物は、端数の金額が多いためにレジ係は、細かい硬貨が後から出されるかもしれないということで、この言葉を口にするのでしょうが、受け止め方によっては、それを催促されている形にもなり、不愉快に思う方々もいるかもしれません。

だから私は、小銭がないときは、お札を出して“これで”とひと言、つけ加えることにしています。

まあ、しかし、敬語が不可欠の接客用語は、なかなか難しいものです。コンビニやファストフード店のレジカウンターに立つ、バイトの学生さんたちも、店が用意したマニュアルを片手に苦労していることでしょう。

そんな折、7月19日に行われた「芥川賞」と「直木賞」の選考会(主催=日本文学振興会)で、今もコンビニのバイトで働く現役コンビニ店員・村田沙耶香さん(36)の「コンビニ人間」が芥川賞を射止めました。

7月20日付の某一般紙で紹介されたの横顔で村田さんは「コンビニは空想の世界から引き戻してくれる場。社会と接点かあったほうが小説が進む」と語っていました。

受賞後の第1弾。彼女には今度は「コンビニ言葉」の“怪”を辛辣に、しかし、面白おかしく、えぐってもらいたいものですね。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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