世界獲りに前進する1回TKO勝利

試合開始-。

前に出てきた相手をガードを固めて観察した後、右ストレートから返しの左をボディーに一撃! いきなりダウンを奪いました。

7月23日(日本時間同24日)、米ネバダ州ラスベガスの「MGMグランド・ガーデン・アリーナ」で行われたロンドン五輪ボクシング(ミドル級)金メダリスト・村田諒太(30=帝拳)のプロ11戦目です。(試合の模様はフジテレビが7月25日午前2時5分から録画中継

相手の元WBC米大陸ミドル級王者ジョージ・タドニッパ(37=米国)は、立ち上がったものの、村田の打ち下ろす右連打を浴びてなすすべなく、レフェリーがストップ。観(み)る側を、もう少し見たかったなァ、と思わせる1回1分52秒、村田の電光石火のTKO勝ちとなりました。

試合前日、村田は昨年11月(プロ8戦目=判定勝ち)以来、2度目となるラスベガスでの戦いに向け、こう語っていました。

〈左ボディーなら当たれば効くと思う〉

武器である強打の右を生かすための左の強化に取り組み、その結果、手応えをつかんだのが左のボディー攻撃となったようです。

“ゴッド・レフト”のWBC世界バンタム級王者・山中慎介(帝拳)も、研究され尽くされている左を、それでも当てるために、右の使い方の研究に余念がなく、同様に村田の左は、試合で実証されたことにより、近づく世界獲りに向けて大きな武器となりそうです。

強打の右を生かす左に磨き

ところで・・・先のWBA世界フライ級タイトルマッチでV3に成功した王者・井岡一翔(井岡)もそうでしたが、ボディー攻撃は一つのキーワードとなりつつあるようです。

この世界、古くから「ボディーで倒れるのは恥」とされていました。

顔へのパンチなら、瞬間的な脳震盪(しんとう)で平衡感覚を失い、また記憶も飛んだりするから、倒れるのは仕方がないが、腹部は頭がしっかりしている分、我慢の問題、根性の問題だろう、とされていたからです。

イチにみぞおち、ニに肝臓(右脇腹)、サンに膵(すい)臓(左脇腹)-と言われます。腹部の急所と痛さの順番ですね。

我慢の問題、根性の問題、と言われても、ここをピンポイントで打たれたときの苦痛は、筆舌に尽くしがたいものがあるようです。

「いやいや、もうどうしようもない感じですかね」とは経験者の感想。「ボクシングは科学だ」の筆者で評論家のジョー小泉氏は「鈍痛を伴う呼吸困難で酸欠状態になります」と解説しています。

この悶絶が概して後半に多いのは、呼吸に関係しています。腹部は基本的に、息を吐くときは固くなり、吸うときは柔らかくなりますが、この吸ったときにパンチをもらえば絶望的。現役時代にボディー打ちがうまかったスポニチ本紙の世界戦評論でお馴染みの元世界王者・浜田剛史氏は「だから、いったん構えたら、吸うときも吐くときも、固めた状態にしておくべきなんです」と言います。

とはいえ、後半戦は息も荒くなり、日ごろの鍛錬とは別次元の問題となって始末が悪いですね。プロボクサーも大変です。

この痛い衝撃を村田は、まだ元気いっぱいの1回に与えたのですから、相手の37歳タドニッパは気の毒の限りでした。

さて・・・村田の世界獲りは、陣営によれば、昨年末に王座を獲得したWBO世界ミドル級新王者ビリー・ジョー・サンダース(英国)を標的にしているようです。

とにかく世界のミドル級最前線は、WBAのスーパー王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザスフタン)、同正規王者ダニエル・ジェイコブス(米国)、ゴロフキンはWBC&IBFの正規王者にも就いており、なかなか入り込む余地がない凄さを呈しています。

この激戦区には、前WBC王者サウス“カネロ”アルバレス(メキシコ)の動向もからんでおり、村田の世界挑戦は、現段階では“様子見”といったところ、年内は見送り、チャンスが来れば来年にも、といったところではないでしょうか。

五輪金メダリストが、プロ12戦目、13戦目・・・ではちょっと、ダレ気味となってしまいそうですが、相手が具体的に見えてきてこそのもの、こればかりは仕方ありませんね。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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