ともにボディー攻撃で勝利をつかんだ夜

会場の東京・大田区総合体育館は、2人のプロボクサーの“怒涛の連勝”で大いに沸きました。

7月23日夜に開催されたプロボクシングのダブル世界戦、WBA世界ライトフライ級王者・田口良一(30=ワタナベ)の6度目の防衛戦とIBF世界ミニマム級王座に挑戦した京口紘人(23=ワタナベ)の健闘です。

時折り、小雨が降る曇り空となった日曜日の午後、会場に向かった私は、その前に親しい記者たちと会場近くのファミレス「G」で合流、夜の試合に備えて腹ごしらえの時間を持ちました。

その席でいつも通りのボクシング談議が始まり、話題は〈名王者〉とは? のテーマとなりました。

ベテランのY記者が言います。

〈今はハッキリあるのかどうか知らないけど、ひとつの基準として、かつては5度の防衛で名王者と言われたよな〉

昨今、山中慎介、内山高志、長谷川穂積たち、それこそ名王者と呼ばれる面々が、2ケタ防衛を果たしていることから、5度では・・・ともなりますが、口で言うほど5度が楽でないことは確かでしょう。

フ~ン、なるほど・・・であれば、V5に成功し今回、6度目の防衛戦に挑む田口は、名王者なんだねェ。どうもピンとこないのは、やはり、田口の試合、アピール度が足りないからなのかな?

そういえば、田口自身もそれを気にしていて“ツヨカワ”などと呼ばれるのを嫌い「防衛回数に見合った評価をしてもらいたい」などと言っていましたっけ。

その意味では今回、1位の指名挑戦者ロベルト・バレラ(コロンビア)を迎えての防衛戦は、勝利はもちろん、どういう勝ち方をするか、という内容が問われる大事な一戦となったことは間違いありません。

“ツヨカワ”転じて“名王者”の称号も・・・

といったことを含めて田口がどう戦うか、さあ、試合開始の時間です。

バレラの戦い方は予想通りです。

序盤から積極的に攻め、頻繁(ひんぱん)にスイッチが繰り返されます。右構え、左構え、また右構え・・・が、田口は慌てず騒がす、落ち着いてバレラのパンチの軌道を読み、プレッシャーをかけて後退させ、左のボディーから右を上に返し、理想的な攻撃を展開させました。

スポニチ本紙の世界戦評論でおなじみの元世界王者・浜田剛史氏(帝拳代表)は「いい攻撃ですね。教科書通りの攻め方です」と話しました。

浜田氏が、2人の攻防で田口の成長を指摘したのは3回でした。1、2回をリードした田口に対しバレラは3回、反撃に出ます。田口はそれに付き合って打ち合うのではなく、プレッシャーをかけてロープに追い込み、封じ込める対応をとりました。抑え込まれたバレラにとっては痛手となりました。

もう一つの分岐点は9回です。

4回以降、田口にはKO勝利が見えてきて激しい打ち合いが展開されます。ともに疲労が蓄積した7、8回でしたが、迎えた9回、勝負どころとした田口は、気力で瞬間的な猛攻に転じ、TKO勝利をもぎ取りました。

フ~ン、緩急自在の凄い戦い方じゃないか。V6も成功させ、こりゃ、名王者の称号を与えてもいいのでは? 

田口自身も、恐らく納得の戦いができたことでしょうし、これでともに戦いを望んでいるWBO世界ライトフライ級王者・田中恒成(畑中)との統一戦も、一気に具体化の方向に進むことでしょう。

そして・・・もう一つの世界戦、何とプロデビューから1年3カ月の京口が、国内最短で世界王座を奪取してしまいました。

軽量級の割には大振りでバランスの悪い王者ホセ・アルグメド(メキシコ)を京口は、外してカウンターのボディー攻撃で弱らせ、9回に左でグラつかせた後、連打でダウンを奪い、3-0判定の快勝となりました。

身長1メートル61と小柄ですが、やることはさすがにデカい! ジムの先輩・内山高志の〈KOダイナマイト〉にちなんだ〈ダイナマイトボーイ〉の愛称がよく似合う、うれしい夜となったことでしょう。
プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

最新記事
カテゴリ
最新トラックバック
月別アーカイブ
最新コメント
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

アクセスランキング
ランクアップにご協力下さい
↓↓↓↓クリック↓↓↓↓
QRコード
QR